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SAURUS > エッセイ > Jun > エースルアーへのキツイ出迎え
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Jun
ESSAY: Jun


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フロッグマンボーが破壊された。
それは、バスポンド到着から僅か2投目の出来事。



デカイ水しぶきを上げて、猛り狂う雷魚。
なんとか、ボート際まで引き寄せ、マンボーを回収し、無事リリースしたものの、プラグの状態は散々たるもの。
リグは吹っ飛び、ベリーには大きな亀裂が入っている。

「ヤバイ、開始10分でクライマックスか!?」




いま、わたしは東北山中のとあるバスポンドにいる。ここは、様々な魚種が絶妙のバランスで共存し合う理想的な小規模リザーバー。
釣りとは関係ない仕事を持つ私であるが、日程を調整して夏季休暇をとり毎年の恒例行事として仲間とともにこのバスポンドに訪れる。避暑としてやってくるのだが、うーん、どうも気温は35度以上ありそうだ。今年の夏は特に暑い。

あまりのうだる暑さにもう耐えられないと、早々にボートを木陰に寄せ、クーラーボックスからビールを取り出し、雷魚のキツイ出迎えに乾杯する。
8時間クーラーなし(故障)のドライブの疲れも、この「ひとくち」で心身ともに蘇える。さらに、冷えたビールを飲みながら破壊されたフロッグマンボーを肴に盛り上がる。


前回のGW釣行で爆釣した、このフロッグマンボー
フラップテールとフロントスィッシャーの相乗効果で醸し出される独特の自己演出力と、このバスポンドで圧倒的な釣果をもたらすフロッグカラーの威力に今回も驚かされた。
そして最初からエースルアーに頼ってしまった余裕のなさとその結末について皆で笑い、さてどうするかとタックルボックスの中をひっくり返す。


自分が記憶する中で、バスほど喜怒哀楽を前面に押し出してルアーにアタックしてくる、こんな「人間臭い」サカナは他に見当たらない。自分より弱く見える物には、意気揚々と捕食態勢に入り、頭の上で激しくルアーを動かせばイラついて体当たりする。ちょっと痛い目にあうと、さっとストラクチャーに逃げ込む臆病さを持ち合わせ、目の前に飛んできたものには思わず反射食いしてしまう間抜けなところもある。
そんな愛くるしいバスを、同じ「人間」だとして考察すれば、その行動は自ずと把握でき、「ブラックバスというサカナ」を釣ることに対する答えは、必ず導き出せる。



この「釣果」という答えを見つけることができるかがバスフィッシングの魅力。そんなバスフィッシングを自分は常時、「推理ゲーム」として楽しんでいる。

中でもトップウォーターゲームは、最も難解な「極上の推理ゲーム」。水面限定だからこそ、サカナをおびき出す過程に「考える楽しみ」がある。


音か、カラーか、それとも、アクションか、ルアーの形状とカラーの組み合わせも無限大。時間、季節、水温、風向き、地形そしてベイトはなんなのか、自己の積み重ねた経験のみを頼りに答えを見つけ出す。「サイズを狙っていく」、「自分のフィッシングスタイルを貫く」。ハードルが高いほどワクワクしてくる。

勿論相手は生き物だ。そう簡単にこっちの誘いには、のってこない。計略をめぐらしながらアプローチしないと、望んだ釣りを叶える事は難しいだろう。


おっ、なんだか仲間のひとりがデカイのを釣り上げた。
ダブルフックのチャグバンプをブッシュ奥にぶち込んで、倒木の下に潜むデカバスを引きずり出した。チャグバンプが仰け反るくらいの派手なアクションにバスもたまらずの追い食いバイト。なるほど仲間の釣りを見るのも勉強になる。


さて、酔いもほどほどのところで、自分もバスと一戦交えようか。
エースの故障はちょっとキツイが、なんとか、この窮地を乗り切ってみせよう。


Jun





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