6月中旬、前日仕事の為遅く寝たのと先日までの秋田遠征の疲れの為寝坊してしまい午前1時起床予定が気付くと2時少し前。 当初は米代川に行く予定だったが目的地を県南、玉川に変更。高速を使い午前5時すぎに到着。解禁から一週間たち人も少ないだろとタカをくくっていたが要所々々にはアングラーが・・・。どうやら米代不調の影響か解禁後比較的安定した釣果があった玉川に人が集まってきているようだ。(安定した釣果と言っても例年の米代の釣果に比べると微々たる数ですが) トロっとした流れのサクラマス河川が多いこの地域で、玉川はハッキリした瀬、トロがあり流れの変化を読みポイントを絞って釣ることができる数少ない河川だ。自分が中学生の時初めてサクラマスを釣ったのも玉川だし、流れの変化を読んで釣る必要性を教えてくれたのも玉川だ。自分にとってのサクラマス道場的な河川でもありサクラマス釣りの原点の川でもある。 名だたる名河川が多い秋田県の中で玉川にハンドルを向ける頻度は多い。何よりも玉川独特の水色に引き寄せられてしまう。気になる魚影は並み程度といったところだろうか。魚の数に対して隠れる場所が多いため釣りでのヒット率は他の河川に比べる高くはない。 ドン深のトロ、荒瀬など攻めきれないポイントも多く難易度を高めている。魚のサイズは自分の印象ではデカイ魚の多い河川で過去70クラスは何本もでているし、自分も70cmのサクラマスをこの玉川でとっている。 当日の朝一のポイントは中流域の橋の上流、解禁後比較的安定した釣果あったエリアだ。到着してすぐサクラのライズを発見。すかさずライズのあった辺りを中心に小一時間攻めるが反応なし。 下流部に入っている地元の友人から電話がきたがイマイチのようだ。彼は仕事の関係上7時には上がらないといけないらしく当日最後のポイントを悩んでいるようなので「いいポイントあるんだけど行ってみない?」と誘い7時までいっしょに釣る事にした。 そのポイントは上流からみて右側にカーブし左岸にテトラが入っており、荒瀬~トロ瀬~動きのあるトロ~荒瀬と典型的な一級ポイント。ここは誰が見ても一級とわかるポイントで当日も3名の先行者がそこを狙っていた。自分が狙いたいのは動きのあるトロの部分で、有名エリアにありながら狙っている人を見たことがないいわゆる竿抜けエリアだ。(それほどまでに前述の荒瀬~トロ瀬が魅力的なのです) では、なぜトロの部分を狙いに来たかと言うと、トロ瀬の下から下流の荒瀬まで幅3メートルくらいの溝が入っていて(偏光越しにわかります)、そこに比較的活性の高いマスが定位するからだ。この溝は夏の減水期に見つけたポイントで自分の中のシークレットポイントの一つで毎年いい思いをさせてもらっている。 ルアーは比較的水深があるポイントなのでレックス・ミディアムディープ9cmをチョイスする。 今までのサクラの釣果の半分くらいがこのルアーによるもので非常に信頼の置けるルアーだ。 1投目。ややアップ気味にキャストしラインスラッグを取りストレートリトリーブでルアーを水に馴染ませる。溝の少し手前からトゥイッチを開始する。チョンチョンと2回アクションを加えた瞬間水中がギラッと光り、「ゴンッ」と衝撃が!!まさかの1投目でのヒットだ。まだ車で準備中の友人を大声で呼びヒットしたことを伝える。このサクラマスは中々の暴れん坊で上流、下流へ数回逃走、ジャンプ数回。足元には沈みテトラが入っていて、そこに入られるとアウトのため半ば強引にネットイン。55cmくらいのピンク色が出始めているメスのサクラマス。 今回使用したロッドは今冬発売予定のTS86Hのプロトタイプ。第一印象はこれまでのトラウトスピンに比べて細くて軽い。 細いながらもパワーと粘りがあるので魚が掛かった後もロッドへの不安はまったくない。ロッドが魚の引きを吸収してくれるのでファイトが楽に感じるのだ。 キャスティングの方もルアーの重みがしっかり胴に乗るので振り切った感触がとても気持ちよく、ロッドがルアーを飛ばしてくれているのが手に伝わってくる。魚を掛けてからもサオが働いてくれるのでこれまでバラしが多い方にはぜひ使ってほしいロッドだ。 サクラマスの写真を撮り、弱らないうちに無事リリース。7時になり友人は仕事へ、自分は朝食をとる事にした。 朝食後先ほどヒットしたポイントをもう一度釣り下る。「さっきのサクラマスもピンク色が出始めていたし今年のサクラ釣りももう終わりかな?」と独り言を言いながらキャストを繰り返す。青い空にクリアな水質、大好きな河川でお気に入りのタックルで最高のひと時。 先ほどヒットしたポイント付近は期待が高く、念入りに攻めるが反応なし。派手目のトゥイッチで少しずつ釣り下る。先ほどのヒットポイントより5メートル下流でトゥイッチをかけていたところ再び水中がギラッ!!まさかの2匹目がヒット!! 高水温の為かファイトはそれほどでもなく難なくランディングに成功。2匹目も55cm前後のサクラマス。このサクラマスはまだ銀毛の強い固体だった。ヒットルアーはまたしてもレックス・ミディアムディープ9cm。カラーは1匹目がアユで2匹目がオレンジベリー。 その後、他のポイントへ移動を試みるが各ポイントに先行者がいて思うように入れない。日差しも強くなり、足元のアユのハミ跡が近い夏を感じさせる。 こんな時は冷えているコーラが一番!!(ビールといきたいところですが一人釣行なので運転が・・・)そして飲み干したあとは河原で昼寝。最高に気持ちいい。 陽も傾き始めた午後4時後半戦スタート。一気に下って雄物川本流の実績ポイントに行くと先行者が。話を聞くと先ほど魚をバラしたらしい。魚のハネがあり確実に魚はいる。二人で暗くなるまで攻めたがノーバイト。車で一人宴会しつつ「明日の朝イチが勝負だな」と思い床に着いた。 午前3時半起床。昨日ラストのポイントに入る。 このポイントははっきりした流芯と左右のヨレで構成されたポイントで後日、則さんと釣行した際「確実に魚が止まるポイント」と、お墨付きをもらったポイントでもある。準備をしていると釣り人が一人やってきた。自分が狙いたい場所では無い所に入りたいらいしのでそちらを譲り自分は狙いのポイントへ。 今日の狙いはヨレに沈んでいる木に付いている魚。木の位置は岸から5メートルもないのだがイチであれば確実に魚が付いているはずだ。ただ、足元がすり鉢状の地形で左右、下への移動が困難なため魚を掛けてからが大変なポイントである。ルアーはやはり実績のレックス・ミディアムディープ9cmのアユカラーを結ぶ。 期待の第1投。沈んでいる木の辺りでうまくU字を切るようにルアーを操作してくる・・・。反応なし。第2投。今度は派手目のアクションをつけながら引いてくる。沈んでいる木を過ぎて、ルアーが見える位置まできた瞬間黒い影がルアーに突っ込んだ!!と同時にロッドに「ズシッ」っと衝撃が走った。 ヒットだ!だが最初の走りはさほどでもなくとりあえず重いだけでノロノロ泳ぎ回っている。脳裏をかすめたのはシーバスかコイ。 「外道か?」 場所を荒らされても困るので強引にファイトを開始。遠めに白銀に光る魚体を確認しシーバスと断定。強引なランディングを続行。が、しかし、目で見える範囲まで魚が来て我が目を疑った。サクラマス、しかもでかい!!! その瞬間サクラマスが自分に気づいたのか急に暴れだした!!流芯に向かって猛ダッシュ!!流芯に入られてはまずいと思い86プロトの粘りを信用しドラグを締めて強引なファイトを開始! 魚の強烈な走りをロッドが吸収してくれ、ロッドワークのみで魚を止めることに成功。再び魚を手前へ。何度かの走りをかわしようやく姿をみせたのは以前、ここ玉川で釣った70cmのサクラマスよりふた回りはでかいオスの鼻曲がりのサクラマス。横腹を見せ始めたので背中のランディングネットを外し、ランディングにとりかかろうとするがここで事件が! 一瞬、ビッグトラウトネットの方を持ってきたっけ?と思うくらいサクラマスの幅がありすぎてサクラマスネットに入りきるか不安が・・・。 別のポイントに入っていた釣り人もこちらの異変に気づいたのかすぐ後ろでファイトを見守っていた。 このポイントに入る多くの人は足場が悪いので磯ダモを持参することが多い為「ネット、持っていますか?」と聞いてみると差し出されたのは自分のネットよりはるかに小さい渓流ネット。アウトだ。 5月末に西村さんが鮭川で70cmオーバーを取った時は河原にずり上げたらしいが、このポイントはすり鉢状の地形の為ずり上げるのは不可。躊躇してはいられない自分のネットでいくしかない。 慎重に魚を寄せる。魚を浮かせネットに誘導。魚の半分が入り、いける!と思った瞬間魚が暴れだしフリーのフックがネットに絡み最悪な状態。 魚はルアーのフックを加えたままネットの外側に。フリーのフックはネットに引っかかったままだ。「どうする!?」ネットを反転させランディングを試みるが失敗。よけい絡んでしまった。 最後の手段ネットに引っかかったまま岸際のわずかな隙間へずり上げる。岸に上げたとたんテンションがなくなったためかフックが外れわずかな岸際をビタンビタン飛びまくる。慌ててつかもうとしたが滑ってつかめない。そうこうしてる間に魚は水際まで来てしまいそのまま水中へ。ランディング失敗から逃走まで時間にするとわずか5秒くらいか。しばし唖然。 「でかかったな~。岸にずり上げた時に体で抑えこめばよかったべ~」。後ろの釣り人の声で我にかえる。 うわさには聞いていた75cmオーバーのサクラマス。以前ならファイト中にロッドをのされて、まともにファイトさえさせてもらえなかったこのサイズが新トラウトスピンによって夢が現実のものになろうとしている。5月末には西村さんが鮭川でこの86プロトを使い70cmオーバーを取っているし、今回もロッドが原因でバラシたわけではない。今一番75cmオーバーに近いロッドがこの新トラウトスピンではないだろうか。 その後も気を引き締め、同ポイントを攻めるが反応なし。8時過ぎ、上流で草刈が始まったようで草が大量に流下してきて釣りにならない状態となったので納竿となった。 新トラウトスピンを手に来年の6月も玉川に通うことだろう。75cmオーバー、いや、80cmオーバーを目標に。 |
(2007年)
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
アングラー ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行 | ||||
トラウトのみに狙いを絞るエンスージアスト。中学生時代には小遣いを貯め、ザウルスのトラウトスピンとステラを購入。2時間以上の長距離もいとわずチャリンコで各河川に出没。豊富な情報量、情熱と行動力で日々、ビッグトラウトを追いかける。 | ||||