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SAURUS > 釣行レポート > #11 鳥取県 日野川 本流ヤマメ
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鳥取県に君臨する日野川。中国山地の三国山を源流とし、日本海に注ぐ。800mの山を77Kmで海まで駆け抜ける急流河川である。下流域は穏やかで、人工的な手が加えられているが春の解禁から大型のサクラマスが狙える川として、中国、山陰地方で注目を浴びている河川である。

河口から下流域のサクラマスが注目されているが、この日野川、少し上流に行くと見事な本流ヤマメに出会うことが出来る。ビッグトラウトを狙っている私にはたまらなく魅力的な相手だ。今回はその鳥取県最大の河川が秘めている、偉大なポテンシャルをご紹介したい。美しく華やかなヤマメが支える壮大なる自然と、サクラマス回帰が繰り返される、大河の懐をお伝えします。
春。サクラマス解禁の喧騒が収まり、普段の静けさに戻ったこの時期。一雨ふって増水した本流は下流域が濁っているので、足を伸ばして少し上流を覗いてみることにする。ある程度の増水は覚悟していたが、それを上回る水量だ。水色は悪くない。うまくすれば尺ヤマメに出会えるかもしれない。はやる気持ちを抑え、身支度を手早く済ませ川に下りる。




「マジか・・・。結構な増水だな・・。」

瀬は激流と化し、普段はほとんど水が動かない淵でさえ厚い流れが支配していた。これで釣りになるのか不安がよぎる。

不安に反して、ヤマメの活性は高いようだ。キャストを初めてすぐ銀鱗がミノーを襲った。「ギラギラ ギラッッ!」サクラマスも尺ヤマメもスケールは違ってもあのローリングする抵抗は同じだ。増水の中、水勢がヤマメの引きにプラスされじっくり重い引きを存分楽しむ。幸先良く尺ヤマメ!ランディング。この水量の中、私のミノーに反応してくれた尺ヤマメは一際愛らしく感じる。
この増水でスイッチが入っているのだろうか?「よし、まだまだ出るぞ・・・。」期待は高まる。 こうなると、ガンガンの瀬の中で釣りたくなるのが、欲張りな釣り師の性。次のポイントは、瀬から開きにかけ、大岩がごろごろ入った場所だ。激流の中、Ty-rex 9cmを投げ込む。「キラッッ!キラッッ!」リズム良く、表層をトゥイッチさせる。

瀬の頭から開きまで丁寧に探ってみるが、なんの反応も無い。「トップには出ないかな?」この川のヤマメは、スイッチが入るとTy-rexが着水したと同時にアタックを見せるほど爆発的な日もある。そんな良き日を思いつつ、車に戻ってタックルをチェンジすることにする。

今度は同じ場所をCDレックス 7cmで攻める。「これでも出ないのか・・・・・。」絶対自信のミノーに反応が無い。テンションが一気に下がって弱気になった私は、ついにディープミノーをラインに結んだ。




場所を移動して、先ほどのように瀬から開きにかけて大岩がゴロゴロしている瀬を選ぶ。こうした変化があって、流れの強いガンガン瀬が好きでついつい足が向く。同じ釣るならばこうした難易度の高いポイントが好みなのだ。

この太い流れの瀬は先ほどの場所と似ているが、その下流側には十字テトラが川幅一杯に敷き詰められている。「ゴクリッッ・・。」生唾を飲む。瀬の開きがテトラがらみで、絶好の流れを見せている。吸い込まれるようにいきなり核心部分の開きに引き寄せられる。

一投目から、ヤマメがチェイスする。投げても、投げても、続けてヤマメがチェイスする。しかし、ルアーからかなり離れてのチェイス。なかなかヒットしない。「反応は良い!これなら釣れるぞ!」俄然、私の活性も上がってくるのであった。あとはヤマメが確実にルアーを喰えばいい。

同じコースを流して、ルアーが上流を向いた瞬間、トゥイッチを2回入れる。「ギラッッ!ズズーン ギラン ギラン!」本流のクロスストリームでフラッシュがスパークした。 「よし!喰った!」

しかし次の瞬間、フッと軽くなってしまった。タイミングは完璧だったがバレてしまった。魚はいまいちルアーを追いきれていないようだ。

気を取り直してキャストを続ける。今度はリトリーブスピードを極端に遅くして、クロスストリームにルアーがU字をかいた瞬間にリトリーブを止めてドリフトさせる。活性の低いショートバイトのヤマメをしっかりとじらして喰うタイミングを与えることにする。



数投後にドラマが起こった。ゆらゆらドリフトするミノーを鋭角的にヤマメが襲った!ミノーがしっかりとひったくられてからガッツリと合わせを入れる。
「ドバドバッッ!ギラギラッッ ギラッッ!」
猛烈に抵抗を見せる。美しい渓の妖精が答えてくれた。これもまた見事な尺上の大ヤマメ。気分はサイコー!
ようやくパターンが見えてきた。

さらに気を良くした私は、お気に入りのCDレックス 7cmでもしっかり釣っておきたいとルアーをチェンジする。
ミノーをフォールさせるが、この太い流れでは底は取れない。ロッドのテンションの違いで狙いのレンジをキープして丁寧にヤマメを誘ってゆく。

ついに、下流部のテトラが入った場所だ。「でかいやつはここにいるぞ・・・。」期待が一気に最高潮を迎える。

CDレックスをフォールさせて少し沈める。リトリーブを開始してハンドルを2~3回まわしたところでゴツンとミノーが押さえ込まれた。しっかりと1発合わせを入れる。「ゴクッッ!」手のひらに伝わる貫通の手ごたえ。しっかりとフッキングしたが、魚との距離はかなりある。何度も横っ走りを見せる。ボトムにはゴロゴロとテトラがひしめく。

強烈な引き込みとスピードは大ヤマメに間違いない。慎重にテトラをかわして、じっくりファイトを堪能して無事ランディングに成功。

見事な35cmの本流ヤマメがこの手に収まった。美しい。まぶしいくらいに美しいヤマメたち。増水が運んでくれた幸運と妖精たちとの出会い。

人工的な下流とちがって、この中流域は緑と巨岩に囲まれ風も荒瀬もまたすがすがしい。汗が額を流れ落ちる。ふと見上げるともうすっかり日が上がり、強烈に輝く太陽が目に入った。暖かく優しい陽だまりに包まれ、私の目に入った閃光は、クロスストリームでフラッシュする大ヤマメの姿に重なっていた。




優しく強い日野川の本流。サクラマスだけでなく、私はこの美しい妖精たちをいつも大切に感じている。
きょうは良い日をありがとう!日野川最高です。



(2008年 春)

ザウルス・アソシエイト 東郷 英基




Angler Photoアングラー ザウルス・アソシエイト 東郷 英基
ビッグトラウトのフィールド開拓が進む西日本地区のベイトキャスター。仕事の関係でサンデー釣行ながら10余年に亘り実績を積み上げてきた。生涯初めてのサクラマスをレックス・ミディアムディープでキャッチ。その運命の出会い以来、日野川のサクラマスをメインに山陽、山陰地域でビッグトラウトに情熱を注ぐ。






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