雪代による影響がほとんどなかった今年4月の北上川。渇水により低調だった5月の鮭川。今まで見たことのないくらいの大渇水で迎えた6月の米代解禁。7月、東北のカラフトマスは不調。夏場の各地のゲリラ豪雨。 「異常気象」。ここ数年天気予報では頻繁に聞かれる言葉だが今年は例年よりも異常な状態が続いている。自分の住む宮城県も大渇水だったもののお盆すぎの豪雨によって川は大氾濫。 普段は本流ばかりで渓流釣り(沢)はあまり行かないのだが8月に岩手県宮古市在住の大下氏に案内された渓流で爆釣を体験してしまい「渓流って中々楽しいじゃん」と単細胞な自分は「今年の秋は渓流釣りを本格的にやってみるか。」と密かに考えていた。 以前から西村さんに「あそこはでかいヤマメいるんだけどな~」という話を聞いていた場所があった。今までの自分ならあまり興味をもたず聞き流していた言葉だが今年は違う。 「居るなら釣り上げてやりましょう!西村さんもいきますか~?」と聞くと「いってらっしゃ~い」。まるで去年までの自分のような返事。 9月10日。仕事が休みだったので例の場所に出かけることにした。9月に入り雨も収まり水量もいい感じで安定している日々が続いていた。まずは本流域で朝マヅメを過ごしアユ釣りの人達が来て場所を追いやられたら沢に入って行くというプランだ。 朝5時半川原に立つ。ルアーは本流域のヤマメ釣りに絶対的自信のあるティーレックス 7センチを結ぶ。ファーストポイントでは無反応。2、3ヶ所目も・・・。 「釣れたが~?」 3ヶ所目のポイントを上がろうとした時地元の釣り師に声をかけられた。 「だめです。チェイスもありません」 「今年は本流の魚が極端に少ないからな~。俺も上の方に入ったけどノーチェイスだ」 「沢の方はどうですかね~?」 「魚はいるだろうけど今年は熊、多いからな~」 確か西村さんもこの川の上流域で熊に遭遇したって言ってたっけ・・・。 魚が極端に少ない今年の本流をやるよりは沢の方がいいなと思い20分ほど上流へ車で移動。 さすがにここまでくると川と道の高低差がある。道路わきに車を止めて熊よけの鈴を装備し川へ向かう。高低差があるため降りるというよりは「落ちてきた」感じでなんとか川原に下りることができた。思ったより水量があり川通しで釣り上がるのは不可。また入川経路がはっきりしないため竿抜けの可能性大とよんだ。 まずは一通りポイント全体を確認して慎重にファーストキャスト。 案の定1投目からいいサイズの魚がチェイスしてくる。 2投目でティーレックス5センチにヒットしたのは鼻曲がりの尺イワナ。引き続き同じポイントを攻める。チェイスはあるのだが深度があわないのかヒットに至らない。ブラウニー 5センチシンキングにルアーチェンジし少し沈ませてアクションをつけながらリトリーブするといきなりヒット。 まぁまぁのサイズの紫がかったきれいなヤマメだ。次のポイントではブラウニーを丸呑み状態で尺イワナが上がってきた。 この後もヒットは続き100メートルの区間で尺イワナ3匹、尺ヤマメ1匹、30センチ以下5匹を手中にすることができた。 両岸が崖で遡行困難になってしまったので着た道を引き返し車で次のポイントへ。3分も走ると降りれそうな場所があったため入川。またもや斜面を転げ落ちる感じで川岸へ。このエリアも両岸絶壁で200メートル前後しか遡行できそうにないので一つ一つのポイントを丁寧に探って行く。 入川場所から尺物を含めヒットが相次いだが50メートルほど遡行すると「いかにも」という大場所が現れた。 いつになく慎重なストーキングでポイントに近づき普段より後ろにスタンディングポジションをとる。 1投目ティーレックス5センチオレンジベリーをアップにキャスト。早めのリトリーブに連続トゥイッチで仕掛ける。手前までくるとルアーの後方に35センチくらいの魚が2本付いているのが確認できたがカケアガリの部分でUターンしてしまった。Uターンの仕方がこちらに気づいたという感じの戻り方ではなかったのでまた来ると確信。ルアーを本日の当たりルアーのブラウニー 5センチシンキング(アユ)にチェンジする。 アップにキャスト。水深があるのでフォーリングで若千沈ませ流速よりも早めのリトリーブを開始する。チョンチョンとトゥイッチを2発かました瞬間「ガツン」と手ごたえが。アワセを決めてファイト開始。 ここまで数本の尺物を釣り上げているがさらに重々しい引きだ。愛用のTS50ULS-Tが本日一番の放物線を描く。 遠めでのヒットのためまだ姿は見えないがロッドから伝わるローリング、首振りの抵抗はヤマメのようだ。ファイトを楽しみながら手前に寄せてくる。魚はやはりヤマメだ。しかもでかい! 「んっ!?」。 ヒットしたルアーをくわえたヤマメの周りをもう一回りでかいヤマメがぐるぐる回っている 。ペアのオスか?バスみたいに空いてる方のフックにヒットしないかな~とファイトを長引かせてみるがヒットしているヤマメにはアタックするがルアーにはアタックしない。今ヒットしている魚をバラしてはどうしようもないのでとりあえずネットイン。 魚の入ったネットを足で挟みつつまだうろついているもう1匹めがけてキャストしてみるがルアーを完全無視で深場に消え去った。ランディングした魚を浅場に寄せ計測。37.5センチの大ヤマメ。この沢の規模でこのクラスのヤマメは大満足。 本流でよく釣れる銀毛ではなく写真ではわかりにくいがパーマークのある立派なヤマメだ。数枚の記念撮影後元の場所にリリース。 その後も釣りあがるが太陽の光が谷に入って来て魚の反応が悪くなってきたので満足のうちに川をあとにすることにした。 今回の立役者はなんといってもブラウニー5センチシンキング。アップストリームでの安定性はグッド!ウェイトもあるのでキャストもしやすい。 また、ヒットのほとんどが丸飲みでのヒットだった。あのナチュラルな泳ぎに魚も完全に小魚だと思っているのでは!? そういえば西村さんが前に別の河川の大ヤマメの話しもしてたな~。残り少ない遊魚期間。次の休みはその川へ行ってみよう。 ロッド ... TS50ULS-T リール ... ツインパワー1000PGS ライン ... 4ポンド ルアー ... ティーレックス5センチ、ブラウニー5センチシンキング |
(2008年 9月)
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
アングラー ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行 | ||||
トラウトのみに狙いを絞るエンスージアスト。中学生時代には小遣いを貯め、ザウルスのトラウトスピンとステラを購入。2時間以上の長距離もいとわずチャリンコで各河川に出没。豊富な情報量、情熱と行動力で日々、ビッグトラウトを追いかける。 | ||||