6月14日AM5時過ぎ、北海道遠征が終わり八戸フェリーターミナルに我々はいた。 この後予定していた八郎潟のバス釣りが中止になりここで解散、という話になった。 則さん、森下さんはまっすぐ東京へ。 ヒデさんは子吉川経由で飛騨へ向かうということで自分はここでメンバーと別れた。まだ、AM5時すぎ。まっすぐ帰っても仙台の自宅にはAM10時過ぎには着いてしまう。せっかく八戸で解散なので北海道遠征の疲れもあったが帰りがてら釣りをしながら帰ることにした。 まず向かったのは奥入瀬川下流。 自分は初めて訪れる河川だが八戸の友人によるとサクラマスの実績がそれなりにあるらしい。下流部の橋の上から川を見てみる。水量が多くて濁っている気がする…。北海道にいたため昨日までの東北の天気がさっぱりわからない。 八戸からの帰り道にある三陸沿岸河川の水量をネットで確認してみると各河川とも増水傾向にある。雨が降ったようだ。普段のコンディションがわからない奥入瀬川をやるよりはそれなりにポイントを把握している三陸河川をランガンしながら仙台に帰った方が効率がいいと判断し、八戸から国道45線を南下し一路三陸へ。 AM7時半。安家川に到着。 水量は平水より多いが濁りもなくベストコンディション。早速実績ポイントをレックスミッドディープ9センチと7センチをローテーションしながら釣り下って行くが反応がない。 2ヶ所目のポイントで38センチの戻り?小ザクラ?がヒット。 その後も各ポイントを探るがチェイスすらない為移動。 AM11時半に遅めの朝食を兼ねた昼食を食べていると八戸で別れたヒデさんから電話が入る。子吉川でTS50ML-Cでいい型のサクラマスを釣り上げたらしい。 「自分も子吉川へ行けばよかったかな~」と弱気になるが気持ちを切り替え次の河川へ。 2河川目は小本川。 河川規模の割りにはサクラマスの遡上がある実績河川だ。しかし今期は不振を極めていた。4月に1本釣り上げているが遡上数が例年と比較するとかなり少ない。 地元の友人も「今年は遡上数が少ない」と嘆いていた。いつも遡上の目安にする橋の上から魚を探すがまったく魚を発見できない。軽く川沿いを車で流すが、さかなっけがないため竿を出さずに移動。 3ヶ河川目は閉伊川。 三陸の河川の中では最大規模の河川で近年雑誌でもよく目にする超人気河川だ。 砲弾型の魚が多く渓相もよく大変魅力的な河川であるがサクラマスの遡上数が少ないうえに河川攻略も難しく、遠征者がこの川でサクラマスを取るのは困難を極める。 実際自分は2006年のキャッチ以来何度か通ってチェイスはあるが、ここ数年キャッチにはいたっていない。 PM2時にポイントに入る。ここは流芯に大石が入っていていつもこの石周りからチェイスがある。 プロトのTS80-Tにティーレックス11センチを結び探って行く。ここの河川のサクラマスは賢い尺ヤマメと同じで1投目が勝負!活性のいい魚が狙ったポイントにいてもルアーのレンジ・アクションが少しずれたただけでヒットはしないし軽いチェイスだけで終わってしまう。 2投目のキャストではもう魚は出てこない。案の定石周りでチェイスがあるが距離をおいて追ってきただけですぐ流れに戻ってしまった。サクラマスの気分に何かが合わなかったようだ。 次に閉伊川で一番人気の堰堤上のポイントに入る。先行者が数人居る。状態を聞いて見るがまったくさかなっけがないらしい。朝から散々攻められていると思うが実績ポイントなので一流ししてみる。 やはり無反応。 時間もPM4時をすぎ「疲れたし上がって仙台に帰るかな~」と弱気になる。 国道106号線を閉伊川に沿って車を盛岡に向かって上流に走らせる。腹帯地区で気になるポイントがあるのでPM4時半に入川。本命ポイントでは反応がなく釣り下って行く。「さ、上がって帰るかなかな~?」と思った瞬間「ドボン!」と、サクラマスが跳ねた。しかも5回。こちらも少し意地になる。レンジを変え、アクションを変え攻めるがまったく反応がない。飛んでいるサクラマスに惑わされPM6時。 最後にもう1ヶ所と思い岩盤が絡むガンガン瀬のポイントに入る。 入って2投目、流心からレックスミッドディープ9センチ(WLー銀アユ)に追尾する黄色い魚影が!!アクションを加えるが魚は流芯に戻って行ってしまった。 閉伊川で2回もチャンスがあったのにヒットさせることができなく悔しくなってくる。明日の朝のリベンジを誓う。明日は用事があって昼過ぎには仙台の自宅にいないといけないの釣りができるのはAM8時すぎまで。 温泉に入り一人で飲みながら明日の作戦を考える。疲れているためすぐに熟睡してしまった。何時間寝たのだろう、ふと目が覚める。すでに明るい…。 「しまった。アラームをかけるのを忘れてしまった・・・」。 時間は幸いまだ何とかなるAM5時。朝飯抜きで腹帯地区の居付きのサクラマスが跳ねていたポイントへ車を走らせるが先行者の車が…。 ふと携帯電話のテロップで流れている占いを見ると今日の運勢は12位。寝坊に先行者。「まさに12位だな」。一人つぶやく。 第2候補の昨日チェイスがあったガンガン瀬のポイントに向かう。幸い先行者はいない。ガンガン瀬が連続し岩盤が入っているポイントなのでスピニングタックルでは魚を掛けても太刀打ちできないと判断し、ベイトタックルで挑む。 ロッドはリンクス・クイックトゥイッチン71。ルアーはプレッシャーが掛かっていて表層には出てこないと判断してサイズダウンのCDレックス7センチ(C-銀アユ)をセットする。 昨日チェイスがあったガンガン瀬では反応なし。ここ閉伊川のサクラマスは移動がとても早く昨日居たポイントで反応がないのはいつものことだ。昨日は反応がなかった下のポイントに魚が移動してきていることを祈り釣り下る。次のポイントは昨日チェイスがあったガンガン瀬の開きに大石が入っていて下のガンガン瀬に続いているポイントだ。やる気がある魚がいるとすれば必ず大石に魚が付いている。 ルアーをどう操作し食わすかをシュミレーションしていざキャスト。アップ気味にキャストし狙いたいレンジまでカウントダウン。狙いたいレンジまで沈めて大石前で連続トゥイッチで魚にルアーをアピール。 大石をすぎた所で食わせのアクションに切り替えるとルアーの後ろがギランと光り、同時に手元に「ズシッ」とした重みが!! 狙いどおりのヒットだ! グネグネと閉伊マス特有のその場でのローリングが始まる。急いで追い合わせをかますとプレッシャーを受けたためか下流へ走り始めた。下流にはガンガン瀬が待ち受けているので下らせるわけにはいけない。朝見た「今日の全体運12位」が脳裏をちらつく。 「バラシてたまるか!!」ドラグをフルロックしサオのパワーで何とか走りを止めることができた。再び下られると不利なので手前の緩い流れに強引に魚を寄せてファイトをする。 「でかい!」。 水の透明度が高いので足元でローリングする魚が丸見えだ。幅広で65センチはありそうな魚体が足元でローリングを繰り返す。何度も沖の流芯を目指して走ろうとするがベイトロッドのパワーで魚をいなし逃走を阻止する。何度かの攻防のすえ魚が弱ってきたので背中に背負っているロングシャンクネットを外しランディング体制へ持って行く。 魚を浮かせ1発でネットインに成功!! 魚をネットに入れ岸を目指すと頭上から視線が。道路からギャラリーが見守っていた。人に見られていてバラしたら恥ずかしいので「バラさなくてよかった~」。ポツリつぶやく。 岸にたどり着き地元の釣友、大下さんが当日釣りに行くと言っていたので写真のお願いの電話をする。30分くらいで到着するとのことで待ってる間にサイズ測定を行う。幅があり見事な魚体だ。買ったばかりのメジャーをあててみる。全長70センチ(尾又68.8センチ)の立派な閉伊マスだ。 タックルと魚の写真を撮り魚をネットに入れて川に立ちこみ魚が弱らないようにし大下さんの到着を待つ。数分後大下さん親子が到着し握手をかわし魚持ちの写真を撮影して頂く。 写真撮影後魚をリリース。人生3本目の70センチオーバーの魚は元気に閉伊川の流れに戻って行った。 差し入れのコーラを飲みつつ北海道の話し等川原で大下さんと雑談していると、釣りをしていた大下さんの息子さんの渓君のティーレックスにサクラマスがヒットするが、フックアウト。 今年からサクラマス釣りを始めた渓くんだがこれをあわせて5ヒット5バラシでさすがに悔しそう。でもこの閉伊川ですでに2本ヒットさせているのはさすがです。 自分は70センチのサクラを自分の考えに当てはめ狙って取って満足なので次のポイントも渓君に譲ることにした。大下さんと雑談しながら渓君の釣りを見守る。水深のあるエリアなのでルアーはレックスミッドディープ9センチ(銀黒)をチョイス。 高校生でザウルスのロッドを振ってるなんて自分の高校生の時みたいだな~って思いながら雑談していると「ヒット~!」の声が。「マジで?」渓君本日2本目のヒットである。追い合わせもバシッと決まりフッキングは問題なし。 流芯の流れは強いが手前は流れが緩い為時間をかければ何とか取れそう。緊張しないように魚を見ながら渓君にロッド操作のアドバイスをする。水中でもがく魚体はさっき自分が取った魚より一回り大きい気がする。足元の岩盤に数回走られたが何とか魚を浮かせることに成功。息子の記念すべき1本目をお父さんが1発でランディング!! 岸際に魚を持っていき魚を測定。はっきり言って幅と厚みが半端ではない。 「ななじゅう~・・・」「え、70オーバー!?」「全長72センチ尾又70.5センチ」。見事な70センチオーバー。初めての魚が72センチなんて渓君の未来は・・・。 「悪魔の釣りの世界へようこそ」。 思わずつぶやいてしまった。記念撮影後、時間は少し早いが8時過ぎには川から上がり軽い雑談の後帰路についた。 狙って取った納得の1本がメモリアルな70センチ。しかも朝の短時間に70センチクラスを2本見るなんて今日のことは一生忘れることはないだろう。 本当に釣れない閉伊川だが透明な川の流心から砲弾型のマスが飛び出してくる瞬間を体験してしまっているので閉伊川釣行は来年も続きそうだ。 次のヒットは何年後になるかわからないが、、、。 |
(2009年 6月)
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
アングラー ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行 | ||||
トラウトのみに狙いを絞るエンスージアスト。中学生時代には小遣いを貯め、ザウルスのトラウトスピンとステラを購入。2時間以上の長距離もいとわずチャリンコで各河川に出没。豊富な情報量、情熱と行動力で日々、ビッグトラウトを追いかける。 | ||||