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SAURUS > 釣行レポート > #49 雪代の流れに…
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「去年よりは良いだろう」と期待して迎えた2013年のシーズンだった。
2012年は川全体の釣り、刺し網、伝統漁法の居繰り(いぐり)網漁を含めたても140本という過去に例のない不漁の年だった。
新潟県の北を流れる三面川のサクラマス釣りが解禁されて今年で10年目。漁業組合員以外は2万円という高いエントリーフィーを払って毎週のように遠方から多くのアングラーが訪れる。









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今年も昨年の様な大雪で、解禁日の3月16日は川の土手道に車を走らせる事は4WD車であっても困難だった。
まだ薄暗い水明橋直下に私達ザウルス大好きメンバーの6人が思い思いのルアーを投げ始めた。しかしウェーダーの滴が凍る寒さの中、サクラマス同様私の活性もまだ低い。時間が経ち、陽が高くなった頃、メンバーの一人に魚の反応があったもののヒットには至らなかった。結局、今年の解禁日も20.5kmの川全体(本流の河口からダムまで)から1~2匹程の魚しか上がってない。まして居繰り(いぐり)網漁にも捕れないのだから昨シーズンの事が頭を過ぎる。
その後、小さな群れが何度も入りポツポツだが釣れ始めた。
昔と違い近年の三面川のサクラマスは小型化し2kgあれば上等と言われていたが、今年は比較的アベレージサイズが大きいようだ。中にはcmの情報はないが3.7、3.8kgや4.1kgが確認された。逃がした魚は大きいと言うが、「デカイのをバラした・切られた」の情報が多く聞こえた。というのもデカイからこそ魚に負けたのだろう。
4月に入り雪代も多く入って来始めた。ダムから100t超の放水、支流と合わせると中流域でも大増水だ。





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2012シーズンに「雪代時にナチュラルカラーでは目立たたないし、スポッテドチャートではショートバイトが多いので、こんなの作って下さい。」とザウルスの製品マネージャに私の理想を細かく伝えお願いしたところ、何度も試作カラーを作っては写真メールを送ってくれた。この場を借りて工場の方々にもお礼を申し上げます。
お陰様で三面川からユキシロキャンディーが生まれた。しかし魚の居ない川で釣れる訳もなくユキシロキャンディーの実績が上がらず、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
今年こそ!今が出番と雪代の流れに投げた。なぜか雪代の白濁りの中で白いレックス・ミディアムディープが良く目立つ。オーラが出ているかの様に周りの水も光って見える、パールの効果だろうか?






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ユキシロキャンディーを銜えた1本目は、巨大な石裏から出た。アワセと同時に反転流に乗り無抵抗のまま私の足元まで来た。ラインで繋がっている事に気付いてないのか、ロッドは曲がっているのにトップガイドの下に平然とし止まっている。それ以上巻けず、かと言ってランディングするタイミングではない。初めてのパターンに動揺した私の影に気付いたマスは、いとも簡単にフックを外して逃げて行ってしまった。
2本目はトルクの太い流芯から引きずり出した58cm。長いポイントを腰まで浸かり30m下った時だった。押さえ込む様なアタリ、そしてローリングで体にラインが巻き付いたのか水面に出て大暴れ。やっと寄せて来たはいいが、リーダーの結び目が水面に出ているのに底にへばり付いて浮いて来ない。体高のある魚はパワーも有り体力勝負の1本だった。
3本目は雪代が終わってからだった。夕闇迫る最後のキャストには、水はクリアーだったがユキシロキャンディーを選んだ。アップにキャストして、瀬脇の大きなヨレをダンスさせながら引かずに流した。ルアーが上流を向き、操るがままに手前の起伏目指して潜って行く。そしてイメージ通りのヒット!まさかとは思ったが本当に釣れた。いや、狙って釣ったのだ。
今シーズン4本目は53cmだった。





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一つのポイントで数時間にバイト・バラシ・水面へのモコモコ浮きが凄いとの情報が入るもののキャッチは1~2本。まさに遡上スイッチの入った群れの通過だ、こんな事は何度もあった。当然翌日に向かうポイントは
前日の一瀬上と読むのだが何の反応もない。そして数キロ上流から釣果情報が入って来る。今までの遡上ペースは一日一瀬と読んでいたが、今年のサクラマスは一日で5~7km上っているようだ。現に中流域の岩沢橋ポイントで釣れたマスにはシーライスが付いていたという。
何処の河川にも共通する話だが、流れは蛇行しているのに、淵が砂や砂利で埋まり魚が休む淵やトロ場がない。だから常に遡上モードなのか。だとすると、今年は時期が遅れながらも例年並みの遡上数を感じたが「アタらない」、「衝撃の大きいドン!というショートバイト」が多かったのは、一日中遡上スイッチが入っている為にルアーへの反応が悪かったのではないかという仮定がぴったりだ。
そして衝撃の大きなショートバイト、これは口を使っているのか?実際にヒットする時は柔らかなアタリが殆どだが、フッキングしない時に限ってドン!とビックリする様な振動が伝わる。フックには鱗が付いている事もしばしば。遡上スイッチON時やスレた魚が尾鰭や体で体当たりした衝撃だろうか。



今年は解禁当初こそ悪かったものの、中盤から釣果情報も多く聞くようになった。昨年の分まで釣ったと喜ぶアングラーにも会った。私としてもスレた魚へのアプローチ・遡上ペース・バラシと日々考えさせられた69日間だったが、イメージ通りに食わせた4本に大満足し、悔いのない禁漁を迎えられた。これからも更なる大遡上を願う。

(2013年 12月)
冨田 忠良




Angler Photoアングラー 冨田 忠良
三面川で産湯に浸かり、そんなフレーズがピッタリの三面川の畔に住む新潟県村上市在住の地元アングラー。あらゆる釣りとアウトドア、そしてオールドタックルにも精通。三面川を心から愛し、春はサクラマス、夏はアユに渓流、秋から初冬にはシーバスとサケ漁に四季を通じて三面川の源流から河口域まで愉しみ尽す。






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