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Jun
ESSAY: Jun


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友人の結婚式も無事終わり、スピーチのプレッシャー(?)から開放された私は、早速次の予定に取り掛かる。
足早にホテルへと戻り、明日の釣りに向けて準備に入った。
ここはハワイ「オワフ島」、相手は未知のサカナ「ピーコックバス」。目指す場所は「ウィルソン湖」。
ガイドをお願いしている「Outdoor Quest Hawaii」千野さんのホームページを再度熟読し、イメージを膨らませる。
丁寧に書かれたそのホームページには、初心者に対しては分かりやすく、ベテランアングラーには余計な妄想を膨らませ、「ピーコックバス」を理解するに充分な内容となっている。
さらには、トップウォーターオンリーのアングラー向けへの説明も詳しくUPされている。
我々、トップウォータープラッガーの「ピーコックバス」に対する余計な不安や偏見も取り除いてくれる。





それにしても、今回の釣行、準備に相当悩まされた。
「結婚式のついでだから」という言い訳と「ここまで来てボウズはカッコつかないぜ」という心の葛藤が交錯する。
1日という日程。釣りの出来る時間も早朝7時から昼過ぎ14時の7時間。
活性の高い時間を考えると、さらに時間は短縮される。
プライムタイムも、早朝なのか日が昇ってなのかもわからない。

本来「ピーコックバス」には、サイドにキラメキのあるルアーが効果的だとの話。他社のリアル系トップウォータープラグがちょっと気になる。

「いや、ちょっと待て、そりゃおかしいんじゃねーか。」
もう1人の自分が自分に問いかける。

「自分たちの釣りは漁じゃない。トップウォーターバッシングはサカナとの知恵比べだ。趣味は、もっと楽しみながら遊ぼうぜ。」
2人の自分が納得する。



正直釣りと言うものは、あれこれ考えても現場に行って初めて感じることのほうが多い。
トップウォーターにおける事前の準備は、私の場合、ワクワクしすぎて期待だけが膨らみ、必ずしも現実とは直結しない。
特に初めての釣り場では、長年積み上げてきた「経験」と信頼できる「タックル」で何とか結果を出してきた。
悩んだ末、日本から持ってきたタックルは以下の通り。
ロッドは、使い慣れたフェンウィック2054とバルカ58。
リールは、ABU2500C。
ラインは、PE50ポンドと25ポンド。
ルアーは、ホッツィーノックンマンボービッグラッシュスマアレシュポップ
ベリーカラーには、定番3色(白、黒、チャート)を中心に少々のイレギュラーカラー。
計30個超のルアーを用意し、いつものスタイルで挑むことにした。





早朝5時45分、「Outdoor Quest Hawaii」千野さんとホテル前で待ち合わせ。
同じような風景の路地を何回か曲がり、街中を抜けて高速に入る。高速道路には平日とはいえこの時間、想像以上の車の量だ。「これだけの人がこの小さな島のどこに仕事に行くのだろうか」とふと思う。さすが一大リゾート都市ハワイ。早朝から慌しい。しかし30分ほど走ると、やがて車は森の中へと入り、しばらくして都会の喧騒などまるで嘘のような穏やかな景色が広がった。目的地「ウィルソン湖」だ。



本日のガイド「ハワード」氏と挨拶を交わす。ハワードは「ウィルソン湖」を知り尽くしたベテランガイド。ガイドに自分の釣りを託すのは、5年前、同じくハワイでのトローリング以来だ。自分の戦略とは違ったサカナへのアプローチ術が見られると思うとワクワクしてきた。早速ボートに乗り込む。

はじめて見る海外のバスポンド。
日本のそれとは違い、景色は油絵で描かれたキャンバスのようでもあり、絵葉書に出てくるような異国の情緒も感じる。
湿気をあまり感じないカラッとした暑さと真冬でも15度以下にはならない水温が、ここの植物やサカナや現地の人々に豊かな安らぎを与えているのだろう。
自然と気分が和らいでいく。

おっといけない。ゆるい気分に浸るのもいいが、どうせなら釣ってから浸りたい。現実へと戻される。

引き続き周囲を見渡し、湖上をチェックする。
水中に沈む倒木やブッシュをはじめとする湖全てのストラクチャーは、日本のバスポンドのそれらと大して変わらない。
多少の減水が見られる。この程度なら岸際へのルアープレゼンテーションもさほど気にならない。





どうやら、恒例の早朝ボイルはまだらしい。
勿論「ピーコック」はボイルがなければ釣れないサカナではない。ガイドの指示通り、岸際ギリギリにルアーをキャスト。着水と同時にアクションを開始する。

まずはホッツィーを普段使いで投げ倒す。ただ引き、ストップ&ゴー、そして軽快な首振り。最後は連続ジャーク。カラーも3色+クリア1色のローテーション。

次は、ノックンスピンノックンバボゥも同様に投げてみる。「ポコン、パコン」とイレギュラーさせながらのダートアクション。時折、虫のもじるアクションも試してみる。



しばらくして、千野艇とすれ違う。
3日通してのお客さんが早朝54センチの「ピーコック」を仕留めたそうだ。
「素晴らしい」、チャンスはある。



千野さんによれば、ここ数日で一番渋い状況だそうだ。
とは言え釣れないのは、自分の釣り方に何かが足りないからだ。
何かヒントとなるものがほしい。イマイチ、バイトのイメージが浮かばない。
数多の策が頭の中でぐるぐると回り、出口が見えなくなった。

しかしそんな私の悩みをサカナたちは察したのか、突如ワンド内が騒がしくなってきた。

「ついにはじまった。これがピーコックボイルか!!」

海のナブラに群がるフィッシュイーターのごとく魚体を水面にあらわにして追い回し、獲物を食い散らかしている。

「圧巻」、その一言しか出ない。





久しくこんな光景とは出会っていない。8年前、茨城・涸沼川で経験した、川面を埋め尽くすバスボイル以来だ。

とりあえず、調子の出ない鳴り物系を諦め、ノックンバボゥ・フロッグカラーを選び、ボイルのド真ん中に投げ込んだ。

着水と同時に高速首ふりアクション。
するといきなり、「ピーコック」がノックンバボゥに飛びかかる。
ルアーのやや左をかすめる。
ノラナイ。



アクションは止められない。

連続バイトだ。
「のれー!!!」
今度はルアーを飛び越えた。
・・・・・ノラナイ。



連続チョイスをのせられず、しばらくの間、ボイルめがけてノックンシュポップをぶち込んでみるが、残念ながら次のチャンスは訪れなかった。
どうやら先程のアタックはラッキーバイトだったようだ。

私はハワードが差し出してくれた「DOG-X」をやんわり断りながら、自分の武器での答えを探す。



初めてのサカナを釣るということ。
「なんと難しいことなのか。」
改めて思う。
現場では机上の空論など通用しない。
ましてや偶然を求めない釣果を期待するなんて、おこがましい事なのか・・そう思えてくる。

「上流はどうなのか」とハワードに尋ねる。
悩みながら、風や日の昇り具合を確認し、ここがベストと判断する。
しかし、結局上流アピールを繰り返す私の意見を聞いてもらい、場所を移動する。





状況が分からないと納得できない。
「水深は?」「どこからがシャロー、どれくらいでディープか?」等など、ポイント毎にハワードに聞きながら、移動を繰り返す。
勿論ハワードは、わがままな客の全ての問いに対し的確に答えてくれる。
次に「キャスティングポイントは間違いないか」と問う。
ハワードから「good!」の回答を得るが、回答の出ない水面を見ていると時間が経つにつれ、自分の腕や思考回路にも疑問を持ちはじめてくる。

今度はペンシルを試してみる。
「ペンシルでは釣りたくないな」と昨晩、ホテルの裏のバーで飲みながら同行の花山と話題にしていたそれをタックルボックスから取り出す。
私はビッグラッシュウォーカーオリジナル・イエローパーチを結び、冗談半分共食いをイメージしながら「ピーコック」を誘い出す。
倒木の下からヌラリと顔を出し、獲物と思い込み飛び出す「ピーコック」をイメージしながら、丁寧にドックウォークさせる。



「ピーコック」にとってウォーカーの動きは餌であり、パーチはサカナであり、まさに捕食すべき対象であるウォーカーは、昨晩の花山と私の間では、禁じ手であった。しかし、現状は背に腹は変えられない状況であって、結んでしまった自分の弱さと自分の考えの正しさを示すためという都合のいい理屈から水面でルアーを動かしている。
そして岸際から3メートルほど離れた辺り、5回目の首ふりで本日2度目のバイトに出会う。

・・・残念ノラナイ。
悔しい気持ちをグッとこらえて、何事もなかったように首フリを続ける。
すかさず、3度目のバイト。・・・・ノラナイ。

ツキがないのか!?
いやいや、ポジティブ思考でいこう。



今度は、バイトまでのアプローチをじっくり観察することが出来たじゃないか。
ルアーななめ後方からスーとやってきて、ルアーの横を狙って瞬時にひったくるようなバイト。
少しイメージが沸いてきた。

その後、バイトが続かずボイルもないため、ハワードはベストポイントではないと判断したのか、再び先程のボイルポイントに移動した。

ボイルが納まっていたため、セブンイレブンで買ったアメリカンサイズのサンドウィッチをほお張りながら、船上で遅めの朝食をゆったり取る。
カメラを出して、見慣れない景色を無造作に撮影していく。

20メートル先にマイボートで遊んでいるアングラーがいた。
ハワードに尋ねる。
「彼はどんな釣りをしているんだ?」
ハワードは「メタルジグで誘っているんだ」と英語と日本語と身振りを交えながら答える。





勿論「ピーコック」の釣り方はトップオンリーではない。
ただこの返答に、「リアクションバイト」と「キラメキ」や「ラメ」がポイントなんだとなんとなく感じる。
ラメ付ルアーがないのが残念だが、なんとなく釣るイメージは出来た。

そして再び辺りが騒がしくなってきた。
待ちに待った2度目のボイルがはじまった。

まずは沖にルアーをブン投げる。
そしてボイルがルアーとボートの線上で起こったとたん、一気に超高速ドッグウォーク。
キレイに首振りしなくてもいい。貪欲な「ピーコック」達の頭上にフェイクだと気づかれないほどのスピードでルアーを通せばいいだけ。ドックウォークは超高速リトリーブ中でわずかに食わせるタイミングを与えるためのトラップみたいなもの。

「ほらきた、ノッタ!!」

興奮を押し殺して、慎重にランディングする。
さすがは南国のサカナ。個性的な色合いが実に美しい。



数投後、同様のアクションで再びヒット。

ファイト中、「ピーコックトップ」はそんなに難しい釣りではないと実感する。
沖でここまでヒットするなんて、普通のトップウォーターバッシングでは考えられない。
この引き味、かなりクセになる。

そして圧巻は次の一投。
ファイト中、ロッドがさらに重くなる。
グイグイとボートの下にロッドが絞り込まれる。

3回潜られてやっと水面まできたとき、驚きが頂点に達した。

「ダブルヒット!!」
艶やかな色を身に纏った魚体が2体、水中でもがいている。



花山とハワード、そして私、興奮が頂点に達する。
初めてバスを釣ったあの時と同じくらい慎重に、サカナが落ちないようにルアーを掴んでランディング。
ハワードにカメラを向けられ、ルアーを掴み、シャッターが切られたその瞬間、本日最高のクライマックスを迎えた。
バイトに持ち込むまでのサカナとの駆け引き、そして待ちに待った水面での補食シーン。これがトップウォーターバッシングの醍醐味だ。
限られた時間の中で行う余裕のない釣り。その中で見つけ出した答え。

まいった。「ピーコック」に、はまりそうな自分がいる。
あぁ「ここはハワイ」、はまれない現実がある。

しかし、もう少しこの余韻に浸りたい。





今回の釣行、現場を熟知し、また私の釣りの楽しみ方を理解してくれたハワードのガイドには大変感謝している。キャスティングポジションや沖でボイルしているサカナヘのアプローチ方法など見えない部分でいろいろとフォローしてもらい、尚且つ、セオリー通りの釣りとは異なる「私の釣り」への理解があったからこそ釣果につながったのだろう。

次回は、ハワードの記録、60オーバーに挑みたい。

しばらくしてハワードから「ピーコックのダブルヒットは今までにないよ」と聞かされた。

素直に喜びが込み上げてきた。




自身初の海外トップウォーターバッシング。
友人の結婚式に感謝、感謝である。


Jun





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