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SAURUS > エッセイ > トップノッチ > オールド品の魅力に学ぶもの
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トップノッチ
ESSAY: Top Notch


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なぜオールド品には、「なにかを訴える力」や「圧倒的な存在感」があるのだろう。



弦楽器の世界で、オールドバイオリンとは1800年以前の楽器の事をいう。
その楽器が奏でる猛々しい音色は、それ以降のモダンバイオリンにはない「確かなもの」がある。と僕は思う。


この時代、ヨーロッパでは産業革命が起きた。ギルド制に縛られない問屋が増え、工場制手工業が発達し、多くの大資本家が企業を興した。またジェイムスワットによって蒸気機関が開発されたことで、生産の効率化が進み、機関車の発展により交通、運輸の充実が図られた。

この時代から急激に機械化が進み、産業が発達していくのだが、同時に完全手工のものが減っていくことになる。
バイオリンも例外ではなく、一部で大量生産されるようになる。もちろん完全手工による楽器製作がなくなることはなかったが、使う道具などが開発され、完全手工品ではあってもオールドの時代とそれ以降の時代とでは製作方法なども変化していった。



例えば木工作業の仕上げに使うサンドペーパーは、この時代以前には存在していなかったため「サメの皮」を使っていた。
「サメの皮」は使った分だけ荒さが変わっていくので、サンドペーパーのように320番、600番、800番などといった品番もなく、触った感触を頼りに使い分けていた。
つまり、マニュアルや品番にとらわれたやり方ではなく、常に感覚的に製作していたのだ。


些細なことではあるが、この感覚的な作業の積み重ねがオールド品とそれ以降のものとの違いになってくるのかもしれない。
機械や道具の発達により、早く、精度良く、大量に作れるようになっていった半面、製作者の手による表現、芸術性が減っていくことになる。
ペーパーがけなど誰でもできることではあるが、だからこそ、そこに魂がこめられているのかもしれない。
機械製品が悪いということではないが、性能ばかりを求めるのでなく、人間が持っている感覚的な部分とのバランスが大切なのだと思う。


ふと思った。

エジプトのピラミッドを作るために、石を運んだだけで人生を終えた人が何人いるのだろう。
奈良の大仏を作るために、命をかけた人が何人いたのだろう。
多くの人が人生をかけて作ったものに機械製のものが敵うわけがない。


つまり、存在感のあるものは古いとか新しいとかではなく、どれだけ製作者が人生をかけて魂を込めて作ったか、と言うことではないだろうか。


それが現在の環境では便利すぎて逆に難しいのかもしれない。
便利は時に敵となる。 車はマニュアルから、オートマチックがあたり前の時代になったが、ドライブ本来の楽しさを感じるにはマニュアルのほうが良いだろうし、いずれ運転そのものもオートマチックになり、運転しなくても車が勝手に運転してくれるようになっていくのだろう。
ゴルフのクラブにおいては、何処に当たってもまっすぐ飛んでいくようになってしまっては、競う意味さえなくなってしまうだろう。
リールもスイッチ一つで狙ったところに飛んでいくようになるかもしれない。




何故、アンバサダーなのか?
楽をするにはもっとハイテクなリールは他にある。


僕の場合、あのラフな感じや回転、音の感触を求めて選んだのがアンバサダーだった。
一つ一つに個性があり、メンテナンスのぶんだけそれに答えてくれる。そして、使い手の色が道具に表れていく。


結局、どんな時代であってもどんな分野であっても、人がモノに対して魅力を感じるのは、それは「作り手が何処まで真剣に本当の心で向かい合ったか。」を感じることができるからであろう。古いモノにはその「本当の心」を感じるものが多いのかもしれない。


100年も前にジムドナリーやクリークチャブが作った斬新なルアー達。それをさらに進化させたヘドンのルアーやサウスベンドのバスオレノ。そしてバルサ50。
「本当のいいモノ」を使っていると、心の奥深いところで向かい合う何かを感じることはないだろうか。



周りの評価や効果を計算せずに何かをすることはとても難しい。
当たり前の事をあたり前にすることもとても難しい。
しかし、行き着くところは結局いつも同じだと思う。


「本当の心」で作られたものこそ、本当にいいモノであり、
「本当の心」で奏でられた演奏こそ、本当にいい音楽であり、
「本当の心」で選んだモノこそ、正しい選択なのではないだろうか。


あなたの「本当の心」で選んだモノを使うことが、あなたの表現になっていく。
あなたの「本当の心」で選んだモノを使い、どう遊ぶのか。
それが、「大人の遊び」なのだと僕は思う。


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