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トップノッチ
ESSAY: Top Notch


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それはきれいな満月の夜だった。
「おいっトップノッチ、俺は基本的に夜釣りはやらないが、こんなにきれいな満月の夜ならやってもいいんじゃないのか?」
どうやら、ほろ酔い加減の則さんは夜釣りに行きたいらしい。しかし僕も夜釣はあまりやらない。

が、受話器の向こうに妄想中の気持ち良さそうな則さんが浮かび、
「良いですねぇー、近いうちに行きましょう。」
とつい言ってしまった。


明日は久しぶりの遠征。いつものようにUMCOの両開きを開いてどのルアーを持っていこうか考え、想像力を膨らませながらテンションを上げていく。

UMCOには空間を雰囲気つける力があると思う。ルアーをひとつひとつきれいに並べる作業も決して苦にならず、むしろその手間によって楽しみや期待が膨らんでいくのだ。釣行後に濡れたルアーを乾かすのも、ベランダなど風通しの良いところに開いて置いておくだけで済むのだから、僕にとってUMCOは生涯欠かせないパートナーなのだ。

今朝届いたグローカラーのダンプティークリンカーを手にしながら、則さんの声を思い出していた。
「夜釣りか~。これも何かの縁かもしれないな。」
こいつを試してみたいこともあり、明日は夕マズメから稀の夜釣りを決行することにした。




夜釣りのメリットは2つある。
1.昼は釣れないデカバスが釣れる。
2.警戒心のない、ド派手なバイトがとれる。

しかしデメリットも2つある。
1.正確にキャスティングする楽しみがなくなる。
2.ルアーアクションが見えないため単調になる。


これらを踏まえてデカバスを狙っての釣行を開始した。
まずは夕マズメ。しかし水の濁りのせいでどのルアーにもまったくバイトが無い。遠征の疲れがドーッッと出る。
ここまできてのボウズはなんとか避けたい。しかし何をやってもまったく何も起こらない。

「おかしいなぁ。」と時間ばかりが過ぎていき、同船者とあきらめかけた頃、不意打ちの「落ちパク」でリッピンダンプティーにバスが食らいついてきたのだ。
そういえば去年も苦戦を強いられていた釣行で、パロットカラーのリッピンダンプティーに「落ちパク」でバスがバイトしてきたことがあった。まさに偶然でくわしたバスではあるが、あれだけ何をやってもバイトが無かったのだから、バスというサカナは今もってまったくわからないものだ。




結局夕マズメはこの一本に終わり、いよいよ辺りは真っ暗になってきた。ルアーチョイスは当然音のするルアーになる。夜釣りはまさに聴覚の釣りだ。竿先10センチでの驚くようなバイトも珍しくないから最後まで気が抜けない。

暗くなって早々に夕マズメでは全くバイトのなかった流れ込みで、いきなり爆音が炸裂した。突然の出来事につい合わせが遅れるが、どうやらセットフックしているようだ。闇中のファイトを全身で感じ、エラ洗いするバスの音がリズミカルに聞こえてたまらない。バレる心配と、心地良い音の誘惑に葛藤しながらも幸先よく45cmのバスを釣りあげた。

トリプルフックに変えたグローカラーのダンプティークリンカーの実力は想像以上で、その後もあっさり同サイズのバスを3匹ほどキャッチ。もう他のルアーで釣りたくなるほど、簡単に釣れてしまったのだ。
となると、もっと大きいのがほしくなるのが釣り師の性。

ここで、アンクルチューバのお出ましだ!

目的はただ一つ!!

50UPのバスを男らしく正々堂々と釣ること!!!!
小技はまったくいらない。
硬めの竿でまっすぐにドカンッと弾くだけ。5拍子待ってドカンッと弾く。また、5拍子待ってドカンッ、一定のリズムでドカンッ…。この繰り返しだ。





アンクルチューバの重量は正直手首にくる。がしかし、負けたくない。
繰り返しキャスティングするも、なかなかバイトがない。
そして手首の疲労もピークに達し、心も折れ、ついダンプティークリンカーに付け替えてキャスティングした一投目にいきなりのバイト。しかしセットフックせず、ふと我に返りすぐにルアーを回収した。
「僕はなんて弱い男なんだ!男らしく釣るんじゃなかったのか?」
すぐさまアンクルチューバに付け替え、慎重にキャスティング。

ロングポーズ…

そして、思い切ってワンアクションしたその直後。
「ドッッッッカ~ン」とド派手なバイトが炸裂し、あわせる間もなくドラグが悲鳴をあげた。
「デカ鯰か?」
ぐいぐい潜る魚にひたすら耐え、ついにはこちらのペースに持ち込むとすぐ、エラ洗いの重低音が闇夜の空に響いた。
この音で50UPのバスを確信するが、再び横へ走るバスの動きに竿を寝かせ、も一度ジャンプ! ようやく船べりまで持ってくると、そこからさらに下へ潜る最後の抵抗がなかなか最後にならず、何度も潜っていく。

一瞬見えたフック1本の緊張感!!

あわてずに、あわてずに耐え、ついに横腹を見せたバスをゆっくりとハンドランディング。でっぷりと太った55cmのバスだった。




その後はルアーをウッドゥンホッツィーのノリスレッドヘッドにチェンジ!このノリスレッドヘッドは前回のスマートアレックのよりも白の部分が黄ばんだ白色で、さらに格好良くなった。だから今度はこいつで釣りたい。
そしてついに、強めに引いたジャークで派手なバイトをとり、今度は落ち着いて合わせるが、その瞬間、アンバサダーがリールシートから外れてしまったのだ。

ザウルスフィリプソンタイプのグリップの唯一の欠点はこの一瞬の衝撃でリールが外れやすいこと。その対策としてリールシートに薄いコルクを張っているが、それでもこの有様。(常にしっかりとねじを締めることを忘れずに…)

そして無理矢理に竿とリールをつかみながら、
「やべー、やべー」

レベルワインダーに人差し指を挟まれながら、
「痛てー、痛てー、」

さんざん騒ぎ立て、なんとか47㎝のバスを捕ることができた。




釣行後、いつもの焼肉店から則さんへ報告の電話を入れた。
「夜ですけどチューバで55のバス捕りましたよ~。」

「ご・じゅ・う・ご・・・・、最高じゃないか~~、・・・立派。・・・立派!」

則さんはいつも心の底から自分のことのように喜んでくれるから、うれしさが倍になる。そしてどこにいようとも、同じ場所にいるようなテンションで気持ちを共有し、労ってくれるのだ。
少年のような素直な心で誰よりも釣りを愛して止まない、そんな則さんが僕は大好きだ。


さぁこれで、満月の夜の釣行がますます楽しみになってきた。

師匠、負けませんぞ。

共にデカバスを釣ろうではナイデスカ…




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