8月、三陸遠征の後は地元の川で休日にヤマメ、ニジマスなどを相手に過ごしていた。 猛暑に台風、残暑。いつもと違い久々に暑い夏を迎えていた。そんな8月の末、則さんからの電話で「来月の末に北海道へ行くけれども一緒に行かないか」とお誘いがあった。仕事の都合もあるので検討して連絡することにしていた。 仲間にも声を掛けてみるも中々、休めそうにも無く同じ仙台に住む粕谷君の所へ行くと北海道に行ってくると言い出した。 忠類川へカラフトとサケを釣りに行こうと計画を立てていたらしい。そこへ今回の北海道への釣行きの話。彼は凄く悩み出した。私の誘いにかなり揺れていて、とにかく考えておいてくれとだけ告げておいた。 三日位して粕谷から連絡があり「先に北海道へ行くのでそちらで合流するのはどうですか」と言いだす。則さんに連絡を入れ私のスケジュールに合わせていただき、我々の北海道釣行は決定した。 9月24日仙台20時発苫小牧行きのフェリーに乗り込む。到着予定は翌日の午前11時頃。 一人の船旅15時間は長い。食事と合わせ一杯飲んでほろ酔い気分で寝床についた。 翌朝、予定通り苫小牧港に着岸。私自身9年ぶり2度目の北海道。前回は道北でイトウ狙いだった。今回はアメマス狙いで道東への予定である。粕谷とは苫小牧の駅前で待ち合わせ。フェリーから出るのに時間がかかり11時半粕谷に連絡を入れ、約10分位で駅に着くと手を振って合図を送ってくれた。 彼は21日から先に入っていて彼女と旅行もかねての釣りでサケ、カラフトマス、オショロコマ、アメマスなどが釣れたようだ。しかし水が少なく状況は今一つだったという。朝、私よりも早く苫小牧に入っていた則さん達は飛騨高山から先に入っていた田中秀人氏と合流するべく一足先に向かっていた。 我々は夕方の到着を目指し日高山脈の日勝峠を越える。途中強い雨が降り続いたが十勝清水に降りる頃には雨も止み、帯広方面も天気良く、高速に乗り池田町へ向かった。池田町からは1時間弱、目的地を目指した。 順調に走り川に着く。 橋の上から見るとアメマスだらけだ。やる気が出てきた。 とりあえず予約してある町営のバンガローに向かうことにした。 バンガローには誰もいない。みんな、間違いなく川にいるはずだ。自分たちも川へ向かってみる。 適当に道を入り橋の上に車を止める。するとかなりの数のアメマスがウヨウヨいるではないか。たまらずタックルをセットし急いで川へ降りる。 もうすぐ暗くなるから1時間もできない、アメマスの居るところへCDレックス7cmをキャストするが、しかし、全く反応しない。粕谷も全く同じだ。なんだ、一体どうなっているんだ!ルアーを追いもしない。まだ産卵でもないはずだが・・・。 結局、諦めて川から上がった。その後、携帯がなり風呂に行こうとのことで海沿いの町に向かい則さん達と合流した。田中さんとも挨拶を交わし湯に浸かった後バンガローへ。すぐに食事の用意をして3ヶ月ぶりに集まった皆で乾杯し夜の宴に入っていった。午後から川に入っていた則さんらも思わしくなかったらしく、自分と粕谷はアメマスの謎で不安がよぎる。夜遅くになって札幌から駆けつけたDCさんも合流し長い夜は更けていった。 翌朝天気も良く飲みすぎたようで起きるのが遅くなった。ゆっくり目の朝食を済ませ今日の予定は?と気になるところだ。DCさんの案で別の川に行こうということになった。確かに雨も降ってないので水が少ないからだろうと思いながら朝食の後、準備をして出発した。 川には30分弱で着いた。ポイントを探すのに時間を費やしたがやがて川へ降りることが出来た。そこから上流がポイントとの事だったが、人数も多いので私は下流の流れへ向かった。最初は外道が掛かってしまいすぐにリリース。今回のタックルはニュートラウトスピン60トゥイッチン。6Lb.ラインに16Lb.リーダーで挑んだブランクも細く、軽くてバットパワーもありそうだ。更に下流に流れのぶつかりを見つけた。いるいる、アメマスらしき魚が。 そこへCDレックススパシンの6cmをクロスで攻めるとヒットしたがサイズが今一つ、35-6cmくらい。その後も同サイズを2本追加したがデカイのは喰わない。少し下流にいいサイズが何匹か確認できた。しつこく攻めるが口を使わないので下流側からアップぎみに投げて沈ませ目の前を通すようにした。 目の前を流れ過ぎてルアーがU字をきって浮いてきたところへ「バシャ」っと出た。サイズは50cmクラスだったがフッキングせず。その後、何度も攻めるも出てくるのは30~40cm位まで諦めて上流へ行くと粕谷が42cm、秀ちゃんが55cmを釣ったと聞いた。小さいのは結構釣れたとの事やはりサイズが一緒だ。更に上流に向かうと流れ込みからの淵にたくさんのアメマスがいた。それもデカイ、60~70cmオーバーのサイズもいる。 則さん達が攻めた後に私と粕谷も投げてみるが全く反応せず、掛ってもスレてしまうのでフックが伸びてしまう。更に上流に移動してみるもデカイ奴はいる。粕谷と二人でカラフトかサケかなと見ていると白い斑点が・・・。「アメマスだ!デカイよ!」と二人でビックリ。70cmは超えていそう。それも4~5本はいる。しばらく粘るもやはり反応しない。河原で昼食をとり皆で話す。「雨が降らないと釣れないんだよ」と則さんは言う。雨が降ると急に口を使うらしい。それもアップに投げて誘うのが一番らしい。また、ブッシュなどにギリギリにアプローチしないと追わないらしく、はっきり言って私も粕谷も舐めてかかっていた。それから間もなく移動しようということになり元の川へ戻ることにした。 川へ降りる。先行者がいたので下流側へ則さん、秀ちゃんが先行する後を追うように粕谷と二人、「キツイかもな」と話しながら釣り下る。 水深のない平瀬にくるとアメマスがいた。かなりの数だ。が、しかし状況は変わらず、口を使わない。ミノーをサイズダウンしてアップに投げる。あまりアクションを付けずに引くとヒット!サイズは今ひとつ、42cmのメス。則さんも、秀ちゃんも40cmクラスはゲットしていたがデカイ奴はさすがに喰わず時間だけが過ぎていく。 夕方17時を過ぎると暗くなってくる。ぎりぎりまで攻めたが後がなかった。夜は明日の予定を立てることに。私と粕谷は一日釣りが出来るのは明日のみ。検討した結果、明日はレインボー狙いに切り替えることになった。雨が降れば状況が変わる。天気予報ではその夜から崩れそうとの事で最悪でも最終日の午前中がチャンスだと思っていた。 翌朝、移動の事を考え早く目が覚めた、皆に声を掛け後かたづけして出発することに目指す川は足寄町を流れる川、我々よりも先に道内入りしていた秀ちゃんが我々と合流する前にこの川を攻めて最大53cmのレインボーをゲットしたと言うことで期待が膨らんでいた。 2時間半の移動で川に着いた。水量もあり良さそうだ。すぐに準備をして河原へ降りる。則さん達3人は上流へ私と粕谷は下流へと別れた。倒木やブッシュがありしばらくは魚が出ず追いが一度だけ。 「魚が居ないな」と粕谷と話しながら下る、まして熊の気配が気になりキョロキョロする二人、300mくらい下った所でティーレックス7cmにやっとヒットしたが小さい。25cmあるか無いかだ。その後も二人共、同サイズは出るも良い型はでず待ち合わせ時間が近づき一度川から上がった。上流側も状況は変わらず良い型は出なかったようだ。12時を過ぎ昼食を摂ることに。私が持参してきた牛タンカレーを食べながらこの後の事を考える。 ちょうど昼食の準備中に雨が降り始めた。最初はもっと上流を攻めようかと話していたが、私はアメマスの事が気になってきた。秀ちゃんに戻ろうと小さい声で話した。その話を切り出してくれてアメマスを夕方までやろうと言うことになった。再び2時間半の移動。おそらく2時間出来るか出来ないかだ。 15時半頃、町に着いた。夜の買出しをして二手に別れポイントへ前日は入ったポイントへ粕谷と二人で入る。ポイントには誰もいない。釣り開始後、早々に外道がヒット。アメマスもいるが反応が無い。雨も程よく降ってきた。チャンスかなと思い昨日、釣れた所まで下る。いるいる、数は多いがすんなりは喰わない。もう少し下って瀬からほんの少し深いポイントに出る。デカイのがたくさんいる。スレを出来るだけ避ける為、ルアーをティーレックスの7cmに変える。何投目かは覚えてない。かなりキャストした。ヒット!まずまずのサイズ。ドラグを締めて寄せに入るネットも無く岸まで寄せ河原に上げた。間違いなく口に喰っている、 サイズは62cmオスで見事な魚体、イワナだと舐めていたがパワーが全く違う。やはり海から上がってきた魚だ。全体的に細長いイメージを抱いていたがここのアメマスは肉厚で太い。この後、スレてくることもあったが、粕谷も何とか55cmをゲット。もう少しで暗くなる。待ち合わせ時間までもうすぐだ。雨も強くなってきた。何度も繰り返しキャストしているとヒット。 デカイ、これは先ほどの奴とは全然違う。ドラグを締めていたがジリジリドラグがなる。その直後なんとラインブレイク。やられた。 16Lb.のリーダーの部分が切れていた。鋭い歯かエラにあたったか、残念である。はっきりは言えないが70cmは軽く超えていたはずだ。その後は時間切れで待ち合わせの銭湯に着くと何と秀ちゃんが80cmを釣り上げたとの事。ビックリ、ドッキリだ、まずはおめでとうございますと握手。信じられない。80アップとは・・・。 我々の釣果も話すと則さんが明日がチャンスだよと言った。確かに雨も強くなり、明日の日中には雨も上がるらしい。明日の朝から午前中しか出来ない。休みの都合で明日の夕方には苫小牧まで戻らなければならない。風呂から上がりバンガローへ戻り80オーバーのデジカメショットをパソコンで見る。デカイ!何だ、これは。まるでイトウでも抱えているようだった。「よし、明日に掛けるか」と粕谷と気合を入れる。サイズは今ひとつだが我々も釣れて則さんに感謝。則さんからも「凄いだろ」と言われアメマスのパワーを身にしみた二人だった。 夜の宴も楽しく過ごし早めに寝床に入った。朝起きると未だ雨が降っていたが本降りではない後片付けもそこそこに。「先に出発して釣りに行ったほうがいいよ」と則さんからのお言葉に甘えバンガローを出発した。走って間もなく川の状況が確認できた。多少水量が増えて、濁りもほとんどないベストな状況を則さんに連絡を入れポイントへ向かった。誰もいない昨日のポイントへ二人で直行する。魚はまだ居る。もしかして雨が降り、上流に移動でもしたかと思っていたが、河口から別の群れも差してきているのだと判断した。 今日のタックルは昨日のことを考え私はインターナショナル73に8Lb.ライン、粕谷はトラウトスピン76プロトに12Lb.ラインで挑む。 釣り始めてすぐにヒット!ティーレックス11cmのテールのフックがしっかり上顎に刺さっている。サイズは今ひとつ48cmのメス。それから間もなく、またヒット。 先ほどよりは大きい。今度はオスの58cmと何とか喰ってくれるがデカイ奴は手ごわい。 時々、スレもあるので、すぐにフックをはずしてキャストの繰り返し。時間を気にしながら釣り続ける。粕谷も時々ポイントを移動しながらやっている。小さいのは結構釣れたと言いながら戻ってきた。 その後、私はルアーをミディアムディープの9cmにチェンジ。すぐにヒット!ちょっとデカイかなと思って強引に寄せる、今日は二人ともネットを持ってきたので楽だ。ネットインしたのはメスだがサイズは68cm!昨日よりもサイズは上がったが狙いは70アップ、粕谷も63cmのメスをゲットしたがやはりそれよりデカイ奴が目標だ。時間も無くなってきた。再びティーレックス11cmに切り替え、木がせり出している奥へキャスト。 来た!今度はデカイ少し強めに設定していたドラグからじりじりラインが出る。水の中で暴れる魚体、間もなくだった。またやられた。ラインブレイク!悔しいと声を出す自分。しかしラインも少しヨレてもいたがやはり10Lb.にしておくべきだったと反省する。75cmはあっただろう。仕方が無い、気を取り直してシステムを作り直す。そしてすぐにヒット。50cmのオスさらに同サイズ。上流にいた粕谷にいいサイズがヒット!だがおしくもスレ掛かりだが68cm。スポットがオレンジに染まったキレイなメスだった。時間もなく上流に上りながら後ろ髪を引かれる思いで車に戻る。目の前にもデカイアメマスやカラフトマスが見える。また来ようと粕谷に声を掛け急いで着替えて11時に車を走らせた。終わったなと舐めていたアメマスのことをしきりに繰り返す。 10分もしないうちに携帯がなった。則さんからだ。どうだったと聞かれそれぞれに釣れたサイズを告げる。そしてまた、ラインブレイクしたことも報告する。「でも初めてなんだから立派な魚だ」と言葉をもらった。この後イトウ狙いで道北に移動する予定の則さんに、また、今度と別れを告げ、苫小牧を目指した。 帰りは来たときとは別ルートで帰ることにした。途中、十勝川やさまざまな川を渡った。やっぱり北海道だなと口をそろえる二人。順調に苫小牧に着き乗船手続きを済ませフェリーに乗り込んだ。粕谷は一週間、私は4日間と短い旅だったが来年、また来ようと約束した。 今回使用したロッドはニュートラウトスピン60トウィッチン。以前の同タイプと比べ細く、軽くまた、ティップからベリーまでが程よく曲がり、バットパワーもあり非常に良い仕上がりになっている。実際、今年は50cmのカラフトマス、さらには60オーバーのアメマスも釣り上げた。リーダーは16Lb.だったがラインは6Lb.使用で強引に寄せることが出来た。後はレインボーのデカイ奴とやり取りしてみたい。 ザウルスファンなら手にしたい一本になるはず。私からもオススメします。 |
(2007年)
ザウルス R&D スタッフ 西村 倫明
ザウルス R&D スタッフ 西村 倫明
アングラー ザウルス R&D スタッフ 西村 倫明 | ||||
ザウルス R&D スタッフ。スポーツザウルス時代より、積極的な商品PR活動を展開。大型トラウトはもちろん、バス、ソルトとあらゆる分野を経験してきた釣りの技術は秀逸。新しいトラウトスピン開発の主軸として活動中。 | ||||