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SAURUS > 釣行レポート > #34 強烈なパワーファイト!
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磯のランカーシーバスを狙う上で一番の魅力はこれだった。

毎年10月上旬〜11月下旬の秋田・男鹿半島の地磯。西風が強まるこの季節の男鹿半島の地磯には程よいサラシが立ち始め、ベイトフィッシュを補食しに産卵を控えた大型のランカーシーバスが接岸してくる。

5年ほど前は条件さえ良ければ、まず釣れた。サラシのでるいいタイミングでルアーを通せれば「一発」だった。しかもその殆どがシャローミノー。
下手な小細工は必要無くいいサラシの出る条件とそれを狙い打つタイミングだけ。真さにパラダイス!自分的に当時は、バイトしてからの「強烈なパワーファイト!」を楽しむ為の釣りだった。

男鹿半島でも特に北磯と呼ばれるエリアは掛かれば大型の比率が非常に高く自分のメインとするエリア。高磯で沈み根が多い。
掛かってからシーバスが根に一気に突っ込もうとするのをフルドラグで阻止し、逆にアングラーがタックルのパワーと腕力で一気に水面に浮かせる。(それでも浮いて来ないようなとこが快感なのだが)そんな釣りができるポイントが数多く点在しランガンには最適なエリアだろう。

しかしここ1、2年前から北磯の状況は変わりつつあると言える。サラシの条件が最高だとしても厳しくなった。なかなか数は出ないし「一発」は少なくなった。何故だろう?
男鹿半島の人気が高まった為、アングラーが以前より増えシーバスがスレ気味?釣られすぎてシーバスが激減した?ベイトフィッシュが少ないからシーバスも接岸しない?他にも様々な要素はあると思うがどれも断定はできない。相手はシーバスである前に「自然」だ!厳しくはなったが、ここ1、2年も全く釣れない訳ではなかったし、居る魚を想定して「どう反応させバイトさせるか?」を考える事が大事だと、逆にこの近年の厳しい状況に学んできた。(いや学んでいる最中!)


「2011年11月28日」

先輩の佐々木肇氏と男鹿半島へラスト釣行。

26日に北西の風が強まり海は一荒れし、ベストの波高は前日の27日。釣行日の28日は波が落ち気味で、午前10時頃までが勝負と予想していた。

今年は二人ともまだ北磯で釣っていない。(肇氏はサーフ等では釣果あり。)他の釣友も今年は苦戦。南磯では数は出ているもののサイズは期待出来ないようで、釣り具店でも大型の情報はあまり無く今年は近年まれにみる厳しい釣果状況が続いていたようだ。
しかし高気圧が続きベタ凪が多かった今年にしてはまずまずの状況。しかも毎年、シーバスの荒食いが始まり丸々とした体高のあるランカーが出会えるのは海水温が下がるこの時期だ。今日がラスト釣行。一縷の望みをかけ現場へと向かう。

午前7時、準備をして現場に到着。高台から状況を確認すると予想より波が低い。しかしウネリが残っていて、時折いいサラシが出ている。
「いける!」
過去の実績から今日のベストと思われるポイントを選択し磯に立つ。ここは沖根周りにいいサラシに出るポイントで水深がある。先攻は肇氏。無駄打ちはせず、サラシがでるのを待っている様子。無風に近いのでロッドは振り抜けの良いブルート96選択したようだ。
ルアーは17㎝のシャローミノーFを選択した。狙いは実績ありの本命ライン。強いウネリが来ていいサラシが出ると予想。キャスト開始!タイミングはいい。しかし‥反応無し!
やはり「一発」は無いようだ。違うラインを通しつつ、再度本命ラインを2、3度通すが‥‥反応無し!!何故?
ここでルアー交換。同サイズのシャローミノーSにチェンジ。ルアーアクションはウォブンロールのアピール系。再度本命ラインを狙い打つ!ルアー交換後一投目、ミノーがサラシを抜けるその瞬間!
「来た!!!」
ラインにテンションが掛かるとともにロッドが一気に曲がる!それと共に二人のテンションも一気に上がる!どうやらランカーサイズのようだ。肇氏のガチンコファイトでガンガン寄せる!さすが肇氏、魚に負けない!浮いてきた魚体を確認すると確かにでかい。がっちりフッキングしていたので慎重に浅場に乗せキャッチ!
「やったー!!」

二人でがっちり握手!肇氏は少年のような笑顔をしていた。(なかなか出ませんよこの笑顔は!!)サイズは90㎝。やはり厳しい釣果状況が続いていたし、ラスト釣行と位置づけていたので、サイズ以上に「一匹の価値」は肇氏の中でもかなり上がっていたようだ!
しばし余韻に浸りながら話を聞くと、どうやら最初に使ったミノーは自分が以前にリップを直してあげたミノーらしく、そのせいで釣れなかった事にされてしまった(笑)

ポイントを休め、いよいよ自分の番。ロッドは相棒とも言えるラテオ110M。先攻はミノーだったので後攻の自分はシンキングペンシルを選択。狙いはやはり本命ライン。一投目はサラシの出るタイミングを見計らいキャスト!着水後即リトリーブ開始。スローで流れに乗せドリフトさせながら通すが反応なし。二投目は同タイミングでキャスト後、5秒程カウントダウンし同じように通すがやはり反応なし。
「1本出たし‥このポイントはもう無いかな。」
違うラインを数回通して、再度本命ライン。今度はサラシの出るタイミングを無視してフルキャスト!10秒程カウントダウン。そんなに自重があるタイプのシンペンでは無いので、イメージは、単にレンジを更に下げるというより、フォール時に流れに乗せてナチュラルにドリフトさせる感じ。カウント後、スローでリトリーブ開始!‥‥すぐに「コツコツ」とアタリが来る!早合わせは禁物なのでロッドをゆっくり立てる。「ゴンッ」と手応えを感じたので、一旦ロッドを寝かせて、そこからゆっくりと合わせを入れる!寄せに入ると簡単に寄ってくる。
「あれ〜。シーバスじゃないなぁ。」
と思った瞬間!強烈なテンションとともに魚が走り出す!どうやら最初、魚の方もルアーを喰った事に気付かなかったようだ。それからポンピングで浮かせつつ寄せる。しかし寄っては来るが浮かない。手前まで寄せると魚体を確認できた!ランカーである事は見て取れる。しかしエラ洗いもしていないし空気も吸わせてないので、まだ弱っているとは思えない!
「ヤバいなぁ。」
案の定、魚が手前の沈み根目指して全力で潜る!自分も腰を落として潜らせまいと全力で耐える!しばらく耐えると若干浮いた。
「ここだ!」
一気に巻き上げ水面に魚を浮かせて、一度空気を吸わせた。その後も若干抵抗したが、徐々に弱り始めたので浅場に乗せてキャッチした!さすが相棒ラテオ110M。ロッドパワーがありつつ、しっかりと曲がる。真さに耐えるためのロッドと言える。
「やりましたー!!」

サイズは89㎝。肇氏とまたもがっちり握手した!

その後、数カ所ポイントを変えながらランガンし(その間、肇氏1バラシあり。)過去に実績に高いポイントに到着。ここは水深もありつつ沈み根が点在し幅も広いのでいろんなラインを探れるポイントだ。
しかし、ウネリが弱まったせいかあまりいいサラシは出ていない。ベストの状況からするとイマイチ。とりあえず、自分が先攻し、しばらくシンペンでしつこく探ってみるが反応なし。

後攻の肇氏がシャローミノーで攻めるも反応なし。しばらくしてシーバスがボイルした。それを確認した肇氏はルアーチェンジ。今度はバブルサウンドを出すタイプのトップウォーターペンシル。小刻みなドックウォークで誘っているようだ。2投目にそれは起きた!突然凄い勢いで、
「バコッ!!」
一目でシーバスと確認出来る程、一瞬、水面から魚体をさらけ出しルアーを喰い上げた!水中に戻った次の瞬間、
「乗った!!」
ガンガン寄せる。途中「ガバガバッ」とエラ洗いをした。シーバスファイトの一つの醍醐味とも言える。手前の根も無事にかわしキャッチ!サイズは83㎝。この状況でシーバスは表層のみを意識していたようだ。なによりこの「内容」に肇氏は納得したようだったし、自分にとっても勉強になった。


原因は断定出来ないが、5年ほど前より状況は明らかに変化している。ハッキリと言える事は「簡単にはいかなくなってきている」という事だ!やはり磯のランカーシーバスの「強烈なパワーファイト!」は確かに魅力だ。しかし大切なのは、この厳しい状況の中で「どう反応させバイトさせるのか?」を追求していく事が、自分にとって一匹の魚の価値を高めてくれるのだと今は思う。磯のランカーシーバスを狙う上で一番の魅力は、近年の状況変化の中で確実に変わった。


「一匹の魚とどう関わるか?」


真さにザウルスの真髄に触れたようなラスト釣行だった‥。

(2011年 12月)

高野橋 直也




Angler Photoアングラー 高野橋 直也
ザウルススタイルのプラッギングに魅かれ佐々木肇に師事。新世代ザウルスメンバーの中でも異彩を放つ存在。サクラマスをメインに東北、岩手を中心に活動中。一匹の魚とどう関わるか、ザウルス流のこだわりをもって挑む。






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