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SAURUS > 釣行レポート > #35 2011秋ニジマス
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「キィーン」

トラウトフィッシングでは普段聞くことがないようなラインが風を切る音が10月上旬の北の大地の河原に響く。
そいつは強めのドラグ設定をものともせずヒットと同時にドラグ音を鳴らしながら斜め上流へ流芯を横切り自分の立ち位置の少し上流でいきなり鋭角にターン!!一気に下流へダッシュ!!
40メートルぐらい下流の流芯に定位している。 自分の立ち位置は腰くらいまでの深さでここから下流は一気に深くなるためこれ以上下ることはできない。 「これ以上下られるとまずい」。 少しずつリールを巻き始めるとまた下流に向かってダッシュ!
次の瞬間スーパージャンプと同時にフックアウト。 フックが外れた後も魚体を見せつけるかのように大ジャンプを3回。 夢にまでみた巨大レインボー。
恥ずかしい話だが完敗だった。 後ろで見ていた苫小牧の佐藤君と顔を合わせた瞬間思わず笑ってしまった。


この河川には間違いなく怪物クラスのレインボートラウトが生息する。 毎年初夏と秋必ずこの川へ向かう。 ポイントも自分なりに模索している最中で毎回がトライ&エラー。

最初の頃は右も左もわからなかったが通い続けた甲斐もありこの川のニジマスの習性がおぼろげながら見えてきてここ数回の釣行では50センチ前後の魚体には高確率で出会えるようになってきた。
その後午後3時過ぎに新規開拓ポイントでCDレックス・スーパーシンキング6センチ(C-パープルバック)にて58センチのニジマスをキャッチし2011秋のニジマス釣行はタイムアップ。

「来年こそは・・・」。
後ろ髪をひかれつつも川を後にし帰路についた。


あれから1ケ月。 手に残るあの感触が忘れられない毎日を過ごしていた。 「また行きたい。」
日に日に膨らむあの川への思い。 こんなご時世。来年必ず行ける保証はない。 思い立ったが吉日。
11月上旬、車に荷物を詰め込み晩秋のあの川へ再び向かった。


今回の日程は2日半。

1日目、お昼過ぎに目的の川へ到着。
平水より水位は多いが先週から数日間続いていた増水が収まり始めているので明日からは何とかなるだろう。
まだ川に立てる水位ではないので1日目は今まで入ったことのないエリアを車で流しながら探索することにした。前回に比べ河原の草・木も枯れポイントが見渡しやすいのでこのチャンスに今まで入ったことがなかったポイントをチェックしていく。

夕方、少しロッドを振ってみるがまだまだ水位が高く思うようなコースを流せない。しかし心配していた落ち葉の流下もなく水位も下がってきているので明日からはミノーイングを展開できそうだ。
車に戻る途中で同じ巨大ニジマスを狙うフライマンに話しかけられたので情報交換。
「この感じだと明日はかなりいい感じだよ!」 プラス思考の話しばかりされたので単細胞な自分は俄然やる気がでる。 「明日は釣るぞ!!」
長時間移動の疲れもあり1日目は早めに就寝。


2日目朝6時起床。

さっそく水位データを見るといい感じに下がっている。 気温は3度くらいだろうか。辺りと川との温度差があり一面霧が凄い。 1発目のポイントは人気のある有名ポイントへ向かう。
本日は1番乗りでエントリー。さすが晩秋。ウェーダーを透して水の冷たさが足に伝わってくる。

1番乗りの実績ポイントということで期待して流すが何もなし。 入れ替わりでフライマンの方が来たので少し情報交換し次のポイントへ向かう。


ここで今回の使用タックルについて。

ロッドは今冬発売のTS-PE86HS。
普段自分はナイロン素材のラインを使用することが多いのだが今回は川幅が広く飛距離が欲しいことや新規ポイントでのPEラインの感度のよさによるリサーチ性を重視してPEライン15ポンド(0.8号)をメインラインとした。リーダーは岩盤が多い川なので根ズレを考慮しフロロカーボン素材の16ポンドラインを使用。

肝心のルアーだが自分のイメージでニジマスにはブリブリ動くアクションが非常に有効な気がするのでCDレックス8.5センチ、7センチ。CDレックス・スーパーシンキング6センチをポイントによって使い分けることにした。
フックは大物対策として伊勢尼針で自作したシングルフック(10~13号)をルアーに合わせて装着。


時間は午前10時半。晩秋ということで水温等を考慮し瀬の開きを中心に数ポイントランガンしているのだが魚の気配がまるでない。 正直この時期ニジマスを狙ったことがなかったのでしばし河原でニジマスの行動について考える。
気が付くと霧もなくなり太陽光が川に差し自分の肩にも陽のぬくもりが感じられる。 少なからず水温も朝よりは上っているはずである。 来たるべき冬に向けてニジマス達は少しでも体力をつけようと思い昼間の水温の上がる時間に瀬に差し込んで捕食していると仮定した。 何箇所か候補の瀬はあるのだが頭に浮かんだのは自分が好きなガンガンの一本瀬で盛期に狙うようなポイント。
「この時期・水温でこの流れに入っているだろうか。」
多少不安はあるがガンガン瀬の頭からエントリー。
3投目。不安は一気に吹き飛んだ。
ガンガン瀬の流芯でルアーをひったくり、流れを味方にダッシュ&ジャンプを繰り返す魚体は間違いなく本命のニジマス。 数分間ファイトを楽しみネットイン。 ボディに鳥にやられたと思われる痛々しい傷があるがギンギラギンの52センチのニジマスを無事キャッチ。 何とか魚の顔を見れたので少し気持ちが楽になる。 下流の開きではやはり何もなし。


次のポイントで昨日会ったフライマンに遭遇ししばし雑談。 話しが弾んでしまい気が付くと午後1時過ぎ。 「さて、午後はどうするか?」
とりあえずナイスサイズをキャッチして心にゆとりがあるので午後からは新規ポイントを攻めてみることにした。


車で向かったのは500メートルくらいちょうどいい流速のトロ瀬が続く流れ。 水面の変化もあり水中にストラクチャーが色々沈んでいて好ポイントに見えるのだが何故か今まで手を付けたことがないポイントだ。
やはり時間のない遠征の心理として実績がないポイントより実績ポイントを。と思い、知らぬ間に避けてしまっていたのかもしれない。 初めてのポイントなのでCDレックス8.5センチで底の形状を確認しながらゆっくり下って行く。

所々に大石などのストラクチャーが沈んでおり間違いなく魚が付く流れである。 下流に行くにつれて底に変化がなくなってくるのでエリアの上流部がポイントだろうか。 一流し目は異常なし。
普段ならこれで次のポイントへ向かうのだが何故かこの時はもう一度このポイントを流してみようという気持ちになった。
ルアーをサイズダウンしCDレックス・スーパーシンキング6センチ(ブラック系)にチェンジ。流れの上流部より再度エントリー。
二流し目ということでストラクチャーの位置を把握しているためストラクチャー周りを効率よく攻めていく。


この川ではウチダザリガニがニジマスのベイトになっていると思われる。 我が家では海水のエビを飼育している。ウチダザリガニは特定外来生物に指定されているので飼育したことはないのだが海水のエビもウチダザリガニも魚から逃げる時は同じ動きをすると思うので飼っているエビが魚に襲われている時の動きをイメージしたアクションで攻めていく。

流芯のストラクチャー周りにニジマスが定位していると仮定してスパシンをそのストラクチャー付近にリフト&フォールで誘導。付近に差しかかったらザリガニが底を這うようなイメージでスローのタダ巻きで魚に見せてやり、魚に気付いたザリガニが尻尾を丸めて斜め後ろへ浮いてピョンピョン跳ねて逃げるイメージを縦トゥイッチで表現。
「食われるならこの縦トゥイッチが終わった後のフォール時に・・・」 と、思っていたらまさにフォール時にルアーをひったくる衝撃がPEラインを通して手元に伝わった!!
まさに予想通りのヒットだ!! 一気に走ってはジャンプを繰り返す魚体。
さすがスピードファイターニジマス!寄せては走られ寄せては走られを何度か繰り返す。 幾度かの抵抗を凌ぎいよいよランディング。 背中のネットを外しランディング体制へ。
ファイト中もデカイとは感じていたが浮いてきた魚の体高を見て改めて驚いた。 「70センチオーバーかも・・・」。

幸い本州でサクラマスを狙う際に使っている特大ネットを持ってきていたので1発でランディング成功!! ネットに入った魚の重さが左手に「ズシッ」と伝わる。
サイズを計ろうと河原を探すも増水気味で計測に適する河原は水没している。 仕方なく岸沿いの少し浅くなっている場所で計測&写真撮影。
体高があるため70センチクラスに見えていたがメジャーをあててみると65センチ。 顔つきからしてメスだろうか。
これはこれで大満足。
数枚写真のモデルになってもらった後、ヒットしてくれたことに感謝しながら元の流れに魚体をリリースした。


思ったより時間の経過が早く対岸の山に太陽が隠れ時計を見ると15時をすぎていた。 移動して次のポイントへ向かうと陽が暮れてしまうため残り時間をこのポイント把握に費やすことにした。

一流し目に先ほど65センチがヒットした付近の斜め下流にもう一つ流芯沿いで流れがぶつかるいい感じの大石を確認していたのでそれを狙ってじりじり釣り下る。
数メートル下ると本命の大石がキャスティングエリアに入ってきた。 大石に魚が付いていると仮定して例のアクション。
ポイントまでルアーを誘導し、スローなタダ巻きでルアーを見せてやる。魚に気付いたザリガニがバックダッシュで逃げるイメージで縦トゥイッチを2発。ザリガニがバックダッシュで浮いてしまいユラユラ落ちるフォールをイメージすると・・・
「ガツン」!! またもやヒットだ。


CDレックスシリーズのフォール姿勢はストンと落ちるのではなく腹に抵抗をうけながらヒラヒラ沈んでいくのだがこのフォールスピードやフォール姿勢が飛び跳ねて逃げたザリガニのフォールイメージと酷似しハマっているのかもしれない。
水面を切り裂くように一気に下流に走るライン。 さすがニジマス。スピードは同サイズのサクラマスの比にならない!!
走ってダメなら大ジャンプ!!これもニジマスのお得意芸。
普段なら慌ててしまう場面であるがつい数十分前に大物に出会ったばかりなのでこちらも心に余裕がある。 数分間ニジマスのダッシュ、ジャンプを楽しみつつもいよいよランディング。 ランディングのため浮かせて横になった魚体をみてびっくり。
さっきの65センチのニジマスより体高がありほっぺを真っ赤に染めたかっこいいオスと思われる魚である。

「ネット幅に対して体高ありすぎ・・・」。 と、思いつつも何とか一発でランディング成功。
先ほどと同じように岸際の浅くなっているスペースで長さを計測。 体高があるのでパッと見は65センチの魚より大きく見えるのだがメジャーは64センチを差していた。 この魚にも数分間写真撮影に付き合ってもらい元気なうちに元の流れにリリースした。


「今日はもう十分」。 明るさ的にはまだ釣りができるのだが早めに納竿し風呂へと向かう。
風呂上り後はこの川で釣りをする際いつもベースにしている道の駅で車中泊。 実は昨日が29歳の誕生日。
1日遅れの川からのバースデイプレゼントに祝杯をあげつつ、明日の行動パターンを考えていると晩秋の夜長はどんどん更けていった。


3日目。 今日は苫小牧の佐藤君が来る予定だったのでいつもより早起きの午前5時半起床の予定であったがあまりの寒さに寝袋から出れず(けっして前日飲みすぎたわけではない)午前6時半すぎに起床となった。

身支度を済ませ早速川へ向かう。 朝一に選んだのはベースキャンプからほど近い500メートルくらいの瀬が続くポイント。 岩盤がらみのポイントでスリットが何本も入っている上に水深もあり申し分のないポイントである。
しかし、見た目とは裏腹に何度か入っているのだが何故か今まで実績がない。 「朝一ならもしかして・・・」。の、ポイント選択である。
自分は昨日いい思いをしたので佐藤君が先行で釣り下る。 佐藤君が広く探り自分が後ろから佐藤君の竿抜けをゆっくり探っていくが何故か今回も反応なし。いいポイントだと思うのだが・・・。


2ケ所目は今まで入ったことのないエリアを二人で開拓。 しかしここでは自分にアメマスが1本ヒットしただけ。
ならばと昨日大物を釣り上げた例のポイントへ一気に移動。 ところが、イマイチ流れが効いていない。 携帯で水位を確認すると昨日よりかなり水量が減っている。
せっかく来たのだからとロッドを出すも佐藤君がアメマスを1本のみ。 移動してくる途中で昨日52センチのニジマスが出たポイントはまだ流れが効いているように見えたのでそちらに移動。


佐藤君が中間部、自分がガンガン瀬の頭に入川。 数投目、昨日の再現のように流芯でヒット!! ガンガンの流れを味方につけ一気に下り佐藤君の前でジャンプを繰り返す魚は間違いなく本命のニジマス。
流れが強くランディングに少々てこずったが何とか無事ネットイン。 サイズは53センチ。
「何食べたらこうなるの?」というくらいパンパンのお腹が印象的なニジマスだった。

その後も気になるポイントを転々とするが何も起こらないままタイムアップ。 自分は予定があるので明日もやるという佐藤君に別れを告げ帰路へ。


翌日、午前中に画像添付メールが1通。
画像を開くと鼻の落ちた菱型のボディをしたニジマスが!! 昨日の別れ際「水位がこのまま落ち続ければあのポイントに入れるね・・・」と、話していたポイントがあったのだがまさにその場所で取ったらしい。
体高が15センチもある57センチのニジマスでルアーはCDレックス7センチWLピンクバックOBにヒット。
そして、夕方3時すぎにもメールが。 「やられました・・・」
何でも今まで入ったことのないポイントで怪物クラスを掛けたがフックを伸ばされバラしてしまったらしい。佐藤君も大物対策で太軸の自作シングルフックを装着しているのだが太軸のフックを伸ばしてしまう魚体とは・・・。


数日経ち北海道での仕事も一段落し仙台に帰る前日のこと。
当初の予定では佐藤君と休みが合うのでフェリーの時間まで近場の釣り場でトラウトと戯れる予定だったが佐藤君があのニジマスを忘れられない様子。無論自分も・・・。 「少ししかできないけど行っちゃうか」。
二つ返事で事は決まり急遽強行で再びあの川へニジマスを狙いに行くことに。 前日の夕方まで自分は函館近郊で仕事をしておりドライブ疲れもあったので今回は苫小牧から佐藤君の車に相乗りして現地へ向かうことにした。
途中の車中からは道路脇に雪も見られ寒さは一段と厳しくなっていた。


今回は時間もない上に間違いなく今年ラストの釣行になるので悔いが残らないようにお互い気になるポイントをやろうということになった。
午前8時、本日最初のポイントは前回佐藤君がフックを伸ばされたポイント。 話を聞く限り自分は入ったことのない場所だと思っていたのだが前に「良さそうだな」と、思って一人でチェックに入ったことのあるポイントだった。やはり「良さそうだ。」と思うポイントはみんなチェックしているようだ。

入川早々自分の上流に入った佐藤君から「ヒット!」の雄叫びがあがる。 佐藤君の本日の使用ロッドは大物狙いのTS-CD70HS。ロッドに不足はない。
数分の攻防の末無事ネットイン!!
大柄な佐藤君が持ってもデカイ!!と感じる今回の魚はラスト釣行を飾るにふさわしい63センチ。
ヒットルアーはCDレックス8.5センチWLピンクバックOB。

足早にポイントを攻め時間がないので次のポイントへ。 次に向かったのは先日佐藤君が57センチのニジマスを釣り上げたポイント。 しかしこちらには先行者がいたのでパス。

次は自分が60センチオーバーを2本釣り上げたポイントへ。 水位的にも前回釣った時と同じような水位だったので出るような気はしていた。 まずはポイントの前後の気になるエリアをチェックするが反応なし。
ならば、本命エリアへ。前回65センチを釣った時の大石周りを攻めると再現通りヒット!!
無事にネットインしたニジマスのサイズは46センチ。ラスト釣行でボウズにならずにホッとした。ヒットルアーはCDレックス・スーパーシンキング6センチブラック系カラー。 フェリー時間を考えると残りは1ポイント。


ラストポイントはどうしても気になる前回も攻めた何故か釣れない500メートルくらいの瀬。
時間がないので上流部、下流部に二手に分かれて狙うが時間切れでタイムアップとなり急いで帰路に着いた。

この次の週北海道に本格的な冬が訪れ河も春までの長い眠りについた。
今年もこの河に存在する怪物クラスをランディングすることはできなかったが怪物クラスのニジマスの息遣いを肌で感じることができ自分なりにステップアップしたシーズンだったと思う。


来シーズンも時間を作って何としてもこの河に立ちたいと思う。 夢の85センチオーバーのニジマスに出会うために・・・。



(2011年 12月)

ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行




Angler Photoアングラー ザウルス R&D スタッフ 粕谷 直行
トラウトのみに狙いを絞るエンスージアスト。中学生時代には小遣いを貯め、ザウルスのトラウトスピンとステラを購入。2時間以上の長距離もいとわずチャリンコで各河川に出没。豊富な情報量、情熱と行動力で日々、ビッグトラウトを追いかける。






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