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SAURUS > 釣行レポート > #38 110cm! 12kg!!
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2月18日(土)
仕事が休みだったので昼間は子供達とたっぷりと遊び、家族が寝静まった23時に家を出て川に。狙いはもちろんランカー狙い。この時期の相模川はセイゴ、フッコ級は割とイージーに釣れるが、条件を見極めシビアな狙い方をすれば90cm前後の大型ランカーシーバスを狙え、もう何年も素晴らしい魚に出会わせて貰っている。

この日の潮周りは中潮初日。干潮の21時11分の潮位19cmから4時34分の満潮位122cm、湘南エリアとしてはそこそこ勢いのある上げ潮。
逆流の流れが少しでも強い場所+ボトム形状が複雑な場所、牡蠣殻があれば尚良し。この条件が当てはまる場所を数箇所下見して一番流れが出ている場所を選択。

上げの逆流と書くと流れを攻める釣りなのかと思われるでしょうが、本当の狙いは上げ潮の塩水くさび。この塩水くさびを辿って稚鮎が入ってくる。そしてその稚鮎について入ってくるシーバスがこれまたデカイ。通常のシーバスは産卵後でやせ細っていますがこのパターンで釣れるシーバスは銀ピカ腹パンのベストプロポーションの個体が入ってくるのだ。

この辺りの詳細な話は3月20日発売のソルト&ストリームに掲載されているので是非読んでみてください。

小型のシーバスの捕食ゾーンを大きく外し流れに対してアップクロスにキャスト、静かにボトムを漂わせボトム形状を撫でるようなイメージで探ってくる。デカイ奴らは塩水くさびから出てこない。ボトムすれすれにルアーを通しランカーシーバスの口元にルアーを送り込むイメージでリトリーブ速度をコントロール。
当然根がかりは付き物で不慣れな人の場合ルアーを10個以上ロストさせてしまうなんていうのはざらな釣り。


もちろん慣れているとはいえ僕も根がかりはさせてしまう。しかしヴィブラは非常に根がかりが少ない、正確には根がかりはするのだが何故か外れる。
何故外れるのかは分からないがロスト率が非常に低いので思い切ってボトムを攻められる。
また泳ぎの立ち上がりが良いので流れに対してアップにキャストしてボトムをスローに流してくる中でも僅かながらでもしっかりと泳いでくれるので、まさにこのパターンにはピッタリといえるルアー。


4~5キャストほどしたら2~3分少し場を休ませて再びキャスト。
同じトレースコースに2回連続では決してキャストは禁物。
既にボトムに居るかもしれないランカーシーバスにプレッシャーを与えない様に細心の注意を払うのと同時に、2~3分のインターバルを挟む事によりボトムをタイトに攻める集中力を整えるためでもあります。

このパターン、ベイトがザワついたりボイルがあったりすることのない実に静寂な釣り。
ランカーシーバスの到着を告げるものは何もなく、ショートバイトも出ない釣り。

来るのはランカーの本バイトのみ。ただ信じ、慎重に、静かにその時を待つ・・・


牡蠣殻エリアを時にボトムノックしながら根がかりスレスレを通す・・・


聞こえるのは自身のキャスト音のみ・・・  


いや、期待に僅かに高ぶる心音は聞こえていたかもしれない・・・


駆け上がりに到達したヴィブラを ズシッ!! と捕まえるような感触。


軽くティップが入るのを確認して大きくアワセを入れるとテスト中のブラックフィン9.4fが大きく弧を描いた!!

ズン!ズン!! と大型シーバス特有のストロークの大きい首振りの後、スピードはないもののこちらとラインで繋がっていることなどまるでお構いなしといった具合の引き!!ロッドを伝わってくる感触がランカーを遙かに越える魚体を容易に想像させる!

沈み根や牡蠣殻が水中にあるため浮かせないとラインブレイクは必至!

90・・・それ以上か?

一瞬、頭の中に巨大な魚体を思い描いたがあえて考えを押し殺した。

萎縮するな!浮かせろ!! 自分に言い聞かせる

前プロトから今回のプロトロッドへの変更点はバットのパワーアップ。その場でしゃがみロッドを無理やり立ててバットに重さを伝達させる。
フック強度に合わせたドラグがチリチリと僅かに出るが、ロッドが軋んで悲鳴を上げる様な感触はなく狙い通りヌゥ~~と魚体が浮き上がり一瞬その姿を見せた刹那に巨大なエラ洗い!

ヤバイ!という言葉が一瞬頭をよぎったが、この激しいエラ洗いをティップ部の粘りがしっかりと魚の激しい動きに追従していた。

潜ろうとするビッグフィッシュ、潜らせまいと踏ん張る自分。

スピードこそないが己の重量に任せた重戦車のようなファイト!


間違いなく自己レコードフィッシュとの戦いだが、この原稿を書いている今振り返ってみると自分でも驚くくらい至って冷静にファイトが出来たのは、ブラックフィン9.4が描き出した美しく理想的なベントカーブを目の当たりにしていたせいかもしれない。

潜りこそしないが後3mのところで最後まで抵抗をやめないビッグフィッシュ。
フック強度からズリ上げは不可能なサイズだった為、フッキング位置を確認。VIVRAが口の右外に見えるがフックは完全に口の中。

実際にはほんの1~2分の出来事かもしれない。しかし何時間にも感じられる濃密な数分。

『あれはメーターいってたよ』バラした魚のサイズほど信憑性にかけるものはなく、言い訳じみた話にだけはしたくない!キャッチして記録画像に収めてからこその記録魚だ!!
実は過去に同じ場所、同じパターンで何度か悔しい思いをしている。そのいずれも魚の引きを、潜りをコントロールしきれなかったのが敗因だ。


今度こそ!悔しさで一杯の頭の中で何度もイメージしたファイトを今度こそ!!


シャローに誘導しライトアップされた魚体が神々しく浮かび上がる。これまでに見たことはもちろん、想像すら追いつかない大きさだ!

自分自身が水に飛び込みボガグリップをかけようと試みるがグリップの開口量より下唇の厚みが勝り、ボガグリップではどうにもならない!想定外の事態だ!!

グリップを放り出しハンドランディングを試みた瞬間、巨大魚が大暴れし無情にもVIVRAが宙を舞う・・・


諦めるな!!


ロッドを離し必死に尾柄を右手で掴み左手はエラの中へ!シャローとはいえ自分自身も水中にうずくまり巨大魚の背中にしがみつく!! 自分の顔のすぐ右隣には振り切ろうともがく巨大魚の顔!幸いグリップ力に長けたグローブだった為右手で掴んだ尾柄もしっかりホールド出来ている!!

シーバスVS人間の一騎打ち!

数分なのか数秒なのかは分からないがその内魚の抵抗が弱くなったので魚に抱きついたまま岸に這いずり上がりボガを手繰り寄せようとした瞬間、最後の抵抗と言わんばかりに岸の斜面上で大暴れ!!

再びしがみつき押さえ込みに入る!!

陸上では流石に人間に分があり、左手ががっちり巨大魚の口を捕らえた!
念のためにとグリップをかけた瞬間震えが止まらない・・・・

ゼーゼーと僕自身も肩で息をしながらも恐る恐るメジャーを当てると大きさは、堂々の110㎝12㎏!!関東のショアシーバスではまずお目にかかれないであろう110cm台だ!!
(重さは家の体重計で計測)

自己レコードを大きく更新する巨大な魚!
傷一無い神々しいまでの完璧なプロポーション!!

まさにモンスター! 

うおおおおおおおおおっしゃ~~!!!
雄叫びというものは口で発するものではなく魂で発するものだと初めて知った夜。


ブラックフィンのテストを始めてもう直ぐ季節は1周する。
テストではない。僕自身の求める最高のロッドを形にしてもらったものがブラックフィン94。オーダーメイドなんて言葉では足りない。テストをしては変更し、またテストをしては再考し現在の形にしてもらった魂のロッド。
吸い込みの弱い40㎝台のシーバス、レギュラーサイズの60㎝~70㎝台、サーフでのヒラスズキ、80㎝台とのドラグフルロックファイトに今回のモンスターの名に恥じない110㎝とのファイト。
幅広い汎用性を持ながらも紙一重のボトム攻めを可能にする超ハイレベルな戦闘力、いざという時に発揮されるパワー、激しいヘッドシェイクに追従する粘り。長い年月右腕として使ってゆけるであろうタフネス。
僕の理想とする9f台のロッドはこのブラックフィン9.4に他ならならないと自信をもって言える! 左手に握られたロッドをまじまじと眺め余韻に浸った。


そして夜遅くとはいえ僕の一報を聞き写真を撮りに着てくれた友人とがっちりと握手!
『このサイズは腕だけじゃ釣れないよ。釣りの神様に感謝だね。俺も見ることができて幸せだよ』と言った友人の言葉が胸に沁みた。


この素晴しい魚に口を使わせたヴィブラSW。
最後まで安心を与えてくれたブラックフィン。
細かい要望に応えてブラックフィンを形にしてくれたSAURUS。
車を走らせ駆けつけてくれた友人。
今日まで僕の釣りに関わってくれた全てのアングラー。

そしてそれらを繋ぎ合わせてくれた釣りの神様に感謝を込めて乾杯!


タックルデータ

ロッド ... 

SAURUS ブラックフィン9.4f

リール ... 

DAIWA  ニューセルテート3000

ライン ... 

ヨツアミ G-soul wx8  1号16lb

リーダー ... 

フロロ16lb

ルアー ... 

SAURUS VIVRA-sw 15g マイワシ

グローブ&ギア ... 

Anglers Design

*  この釣行記は当日帰宅後の興奮冷めやらぬ内に書き綴った文章です。乱文ではありますが当日の臨場感を共有して頂けたらと思い、雑誌の件など一部加筆はしましたがそのままの文章を掲載していただきました。

(2012年3月)
久保田剛之




Angler Photoアングラー 久保田 剛之
シーバスに狙いを定めて15年以上、豊富な実釣経験により蓄積された知識とデータを駆使して激戦区の湘南エリアをメインフィールドとして活動。fimoの凄腕トーナメントでは月間優勝の常連という偉業継続中の知る人ぞ知る敏腕アングラー。ニューブラックフィン・シリーズの開発キャスターとして2012年2月、ついに地元湘南で念願のメーターオーバーのシーバスをキャッチ。今後のさらなる活躍が期待される目を離せない存在。






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