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SAURUS > 釣行レポート > #43 小櫃川モンスターへの挑戦
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秋の気配も色濃くなりいよいよ大型シーバスの季節がやってきた。
何ヶ月も前から大物狙いのシミュレーションを繰り返してきたアングラーも多いことだと思う。

僕の職場の休日は2ヶ月以上前に組まれるシフトで決まる。
7月後半にはひたすらタイドグラフとにらめっこを繰り返し、どの潮周りでスーパーランカーシーバス、さらにその上のモンスターシーバスを狙えるのか?
そんなことを考えに考えて秋の休日のシフトを組んでいく。

僕の現在の釣行範囲である相模湾、東京湾では90cm以上の超大物シーバスを狙い打てる場所、タイミングというのはそんなに多くはない。
普段の釣りをしていても運良く釣れることもあるかもしれない。
しかしただ運任せで釣行を重ねているだけでは80cmは獲れても90cm、メーターオーバーともなると、なかなか出会うことは出来ない。
大物に狙いを定めて『絶対にこの日この場所だ!』という釣行、ハイシーズンでも月に1~2回しかない予測可能日にアタックし、そんな釣行を繰リ返した先に待っているのではないかと考えている。

また90cm後半以上のシーバスをターゲットの主に据えると更に条件が狭まってくる。
予測しようとすると非常に限られた日しかアタックチャンスがない。

そんな言い方をすると途方もない挑戦に思うかもしれないが、僕はそうは思っていない。
大物になればなるほど自然の摂理に忠実に行動していると考えているからだ。

全てのシーバスが大型化できるわけではない。
好奇心旺盛な性格の個体は大きくなる前に釣り人に釣られてしまったり、他のフィッシュイーターに食されてしまったり、はたまた病気に感染したり、
ちょっとした気まぐれな行動で大型化する前に寿命を終えてしまう。

大型化する個体は少なからず他の個体より警戒心が強く、気まぐれな行動を起こさないが故に大型化できたのではないかと僕は考えている。
もちろん大型化するまでに蓄えた知恵というものも通常個体よりも多いはずだ。

また大きな身体を支える為には小型の魚よりもカロリーが必要だ。消費カロリー>摂取カロリーでは生きていけない。
通常の大きさのシーバスよりも必要カロリー数は多い、しかしその為にベイトを常に追い回していては消費カロリーも上がるしリスクも伴う。
そのため高栄養なベイトを追いかけ回すことなく無駄な体力を使わずに摂取するのがベストとなってくるのではなかろうか。

『高い警戒心が緩みやすい状況下』
『やたらと動き回らずとも栄養を摂取できる』
『栄養価が高くエネルギー変換率の良いベイト』
『大きい魚体を隠せる場所』
『ルアーを見慣れていないフレッシュな群れの入るタイミング』

条件が非常に限られているというのは言い換えれば『その全ての条件を満たすタイミングが大物の時合い』と言える。



千葉県小櫃川。

僕の家から車で1時間ちょいで辿り着ける内房の超メジャー河川。
この超メジャー河川でも毎年1年に1~2回はメーターオーバーが確実に入ってきているのではないかと考えている。
実際メーターオーバーの釣果を耳にしたことも1回や2回ではないし、90cmオーバーの釣果は毎年耳にする。

90cmのシーバスが釣れた場合80cm台の群れのMAXサイズとしての90cmなのか、100cm台の群れの中の小ぶりな個体としての90cmなのか。
この違いはあくまで僕の勝手な想像でしかないのだが、モンスターシーバスを狙い打とうとするとその違いが非常に重要になってくる。
そして小櫃川ではこの後者と考えられるタイミングが初秋にやってくる。

このタイミングが長いか短いかは年によって違いはある。
1年の中のたった1日、その時合いが例え1時間だったとしてもそのタイミングは確実に存在していると僕は信じている。
呼び水となるのはコノシロ。
どんなに僅かでもコノシロが河川に入ってくることがその鍵となる。
それと別エリアの青潮。この2つがキーになってくるのではないかと睨んでいる。
このあたりをイメージしながら2ヶ月前に考えに考えた末に組んだ休日がやってくるのをドキドキしながら待っていたのである。

とはいえ自宅から随分と離れた河川。釣行予定日までの状況というのは僕一人では到底把握できるものではない。
当日までの河川の状況は親友でもあるシマヤ木更津店の遠藤氏に情報を頂いていた。


********ファーストアタック***********
9月12日 若潮
もし早めに河川にコノシロが入った場合を想定してとった休日。
前日に遠藤氏に連絡を取ったところ河川内にはシーバスはそこまで入ってきていないのではないかということだった。
しかし本命のタイミング前に春の釣行からの地形の変化などを見ておきたかったのでアクアラインを渡った。
朝3時には現地入りし河川の流れなどを暗いながらも確認。
その後、遠藤氏とその先輩の石井氏と合流しキャストを開始した。
しかしこの日はシーバスからの反応は根ズレでラインブレイクしてしまった1回のみ。
サイズ的にもおそらく70cmちょいといったところ。
その代わりと言ってはなんだが、クロダイの活性が非常に高くついつい夢中になってしまうほど。
この釣行の様子はクロダイ釣行として東京中日スポーツにも紹介していただき、まさに棚からボタモチと言った釣行だった。

しかし案の定大物シーバスを狙うには早かった。



*****セカンドアタック*******
9月26日 若潮
前々日の24日に遠藤氏よりコノシロが入ったかもしれない、潜った川鵜がコノシロっぽい魚を咥えていたとの連絡があった。
想定通りのタイミングだ。
干潮のタイミングが朝マズメ過ぎであること、流れが速すぎず遅すぎずの若潮である26日を本命の潮周りと狙って休日を取っていた。
河川やベイト、季節によっても違いがあるが、河川にはシーバスの新たな群れが入るタイミングというものがある。
1日の中でもシーバスは河川を出入りするが、その行動に新たに加わったり去ったりするタイミングというものがある。
そのタイミングを読むのが大物を狙い打つ場合の醍醐味となる。

空が明るくなり始めの頃に河川に到着。
平日とは言えそれなりの数の釣り人の姿が確認できる。恐らく前日には数が出たのだろう。
遠藤氏と合流し空いている立ち居地を求めて二手に分かれた。

探ること十数分。下流に分かれて入っていた遠藤氏からスーパーランカーの一報が入る。

94cm。
この一報は僕も本当に嬉しい1本だ。読みどおりスーパーランカーが入ってきている。
流石小櫃川をホームにしているスペシャリスト、鮮やかである。


遠藤氏のいる下流に下るかこの場に留まるか・・・
おそらくこのエリアのA級のポイントは一箇所ではなくきっと上流側にも着くはず!
と、その場から動かずにいたがこれが判断ミスだったか?下流側で打っていたアングラーにもう一本90cmが出た。
やはりタイミングはドンピシャだ。きっと周囲にメータークラスもいるはずだ!

時折バイトはあるもののフッキングできない。
ようやくフッキングしたのはど干潮になり少し流れが緩んだ時だった。

74cm。
このタイミングでこのサイズは少しもの足りない気もするが、『もうタイムアップか?』と心が折れかけた時に出た1本だけに
本当に嬉しい1本。
結局この日の僕の釣果はこの1本のみだった。後日もう一回チャレンジする日を残している。
きっと次回こそは!そう心に決めて小櫃川を後にした。


********サードアタック**********
10月9日 小潮
仕事を終えてそのままアクアラインを渡り前日の22時に小櫃川に到着。
世の中3連休ということもあり多くのアングラーがキャストを繰り返していた。
釣果が気になったが僕の狙う朝マズメまでは体力を温存しようと車中で眠りについた。

空が白ずむ約2時間前。3時過ぎから河川に入る。
ウィークデーともあって流石にこの時間ではアングラーはいない。
眠りにつく前までいたアングラーは何時まで打っていたのだろう?少しはフィールドを休ませる時間はあったのだろうか?

定点でキャストしてプレッシャーをかけ続けていては万が一モンスタークラスがステイしていたとしてもスレて喰ってこなくなる。
この時間までどれだけプレッシャーがかかっていたかは分からないが、せめて貸切の今この時間だけでもプレッシャーコントロールをして
少しでも可能性を高めていく。

同じコースをトレースしないように1箇所で3方向にキャストしたら数メートル移動を繰り返していく。
スローにVIVRA15gを河川のブレイクエッジに居るシーバスに出来るだけ長くルアーを見せることを繰り返していくと

ゴッ!という感触に遅れるように首降りの感触が伝わってくる。
まず間違いなくランカーは確定の感触だ!元気なまま手元に寄せてしまうと足元のストラクチャーに巻かれる可能性があるので、
寄せる前に疲れさせたいところ。少し粘るように沖でファイトをしているとチャンスとばかりに魚が一気に加速する。
フッと抜ける感触。加速に耐えようとしたらフックが伸びてしまった・・。
主導権を渡さずに沖で消耗させる・・・やってみるとなかなか難しい。

直ぐに次のチャンスがやってきた!同じようにスローに引いたVIVRAに喰ってきた!
今度は一気に寄せて足元のストラクチャーを交わしながらランディングする作戦。

・・・が、今度は足元の突っ込みを耐えていたら、交換して新品のフックが再び伸びてフックアウト。
ヒットルアーはバイブレーションで問題ない。15gクラスのバイブレーションの中でもVIVRAに装着されているフックは強い方だ。
#4まで上げる為にはバイブレーションの重さが20gまで上がってしまうし・・・
いっそVIVRA15gに無理やり#4フックを・・・

いや、しっかり口を使ってきているので今の泳ぎを変えたくない。
頭の中で様々な選択肢がグルグル回る。考えがまとまらない内に本日3回目のヒット!!
ドラグを緩めた。思いっきり走らせてから慎重に寄せよう。そんな思惑は見事に外れ、今度は伸ばされることなくフックアウト。

こうなるともう迷走状態だ。
反応も止まり東の空が明るくなってきた。本日の本命の時合いが過ぎてしまった。
ここで遠藤氏と合流し朝マズメの川を二人態勢で狙っていく。

完全に明るくなった午前5時半。本日4回目のヒット!
考えてもバレてしまうのならいっそのこと何も考えない!!余計な事を考えず純粋にシーバスとのやり取りを楽しむ!
3回のバラシの果てにようやく基本に戻ってきた感じだ。『元気が良いな~』『お!まだ楽しませてくれるのか!?』
と心の中で魚と対話する。

水面に大きな魚体が横たわり無事にランディング。

85cmの良型!濃厚なファイトを楽しませてくれ、最後の最後で喰ってきてくれたこの魚に心から感謝。



当初の目標には届かなかったが2ヶ月前からシミュレーションして挑んだ今年の小櫃川。
目標を考えなければ十分嬉しいサイズが取れた。しかしタイミングは合っていたし、目標達成の可能性を秘めた魚をバラしたことは悔やまれる。
嬉しい気持ちと悔しい気持ち、そして最後まで付き合ってくれた遠藤氏への感謝の気持ち、様々な想いを抱え今年の小櫃アタックは終了した。
最後に応援に駆けつけてくれたブラックロックの皆さん、本当にありがとうございました!

思い描いている1尾を思考錯誤して追いかける。この釣りがこんなにも楽しく心躍るものだと改めて実感した初秋だった。

(2012年 10月)
久保田 剛之




Angler Photoアングラー 久保田 剛之
シーバスに狙いを定めて15年以上、豊富な実釣経験により蓄積された知識とデータを駆使して激戦区の湘南エリアをメインフィールドとして活動。fimoの凄腕トーナメントでは月間優勝の常連という偉業継続中の知る人ぞ知る敏腕アングラー。ニューブラックフィン・シリーズの開発キャスターとして2012年2月、ついに地元湘南で念願のメーターオーバーのシーバスをキャッチ。今後のさらなる活躍が期待される目を離せない存在。






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