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SAURUS > 釣行レポート > #45 三浦半島トウゴロウパターン
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出口を三浦半島と房総半島に挟まれた東京湾。三浦半島トウゴロウパターン
秋も深まり季節が冬に変わる頃になると東京湾のシーバスは産卵行動のために南下し始める。
もちろん全てのシーバスが一様に南下し半島の先端エリアに集結する訳ではないのだが、普段外洋に近いエリアを生息域にしているシーバスも産卵前の栄養摂取の為に接岸をし始める。
その為この時期の三浦半島、房総半島のシーバスの魚影は非常に濃くなる。

半島周辺に集まったシーバスはマイワシやカタクチイワシ、キビナゴなど様々なベイトに着く。
ところがこの格好のベイトはなかなかに神出鬼没で、ある程度のシーズナルパターンはあるものの年によるバラつきや気象状況によっては僕達アングラーの手の届くところまでは全く接岸してくれない。

そんなベイト達の中で比較的安定して接岸してくれるのがトウゴロウイワシ。
イワシと名はついているがイワシ科の魚ではなくボラやダツの近縁種、故に生息域も沿岸部であり汽水域も好み水面付近で群れる様はイナっ子によく似る。

トウゴロウの群れにシーバスが着くとバシュッ!ドパン!!とド派手な音を立てて水面を割る捕食シーンが多々見られる。
しかししかし、このトウゴロウパターンがなかなか難しい。派手にボイルしているのでシーバスも食い気満々なのだが、ベイトの数が多すぎるせいなのかは分からないが全くルアーに反応しないことはザラ。
居るけど喰わないの代表例のようなパターン。

今回はそんな難パターンの安定攻略の糸口を見つけるべく三浦の磯と漁港に通ってみました。


11月17日
今シーズン初の三浦入りは暴風雨の中。
南方向からの強風で海が荒れた為にベイトが漁港に逃げ込むだろうと目論んでの釣行。狙い通り漁港内はピシャピシャとベイトが満員御礼状態で『これは貰った!』と思わずにやけてしまう程の光景。
時折シーバスが下から突き上げて水面に追いつけられたベイトが音を立てて逃げ惑う光景に、この日一緒に釣行した中学生アングラーとそのお父さんも一様にテンションが上がる。

が、ルアーに引っかかってきたベイトはトウゴロウイワシ。案の定『居るけど喰わない』の洗礼を受けることになる。
僕が何とか3ヒットさせるがバイトが浅く全てランディング前にバラしてしまった。
自分の中で苦手意識のあったトウゴロウパターンの壁に今年もいきなりぶち当たってしまった結果となった。


12月10日

この日は横須賀に出張があったために夕マズメ、かろうじて西の空に赤みが残る時間帯には三浦に到着することが出来た。
空は晴れているものの前回以上の爆風で風速は10m以上。海上はウネリはないものの風波で荒れていたので『これならば風裏にベイトが入り込むだろう』と磯を選択した。
案の定磯の波裏にはベイトがピチャピチャやっており10分に1回くらいでシーバスが水面で捕食している・・・
期待していたカタクチやキビナゴではなく、やはり難敵のトウゴロウ。
カタクチを期待していたけどトウゴロウも予想できたのでこの日は自分の中で効果があるだろうルアーを準備してきた。

僕のホーム河川でも今回のトウゴロウのようにイナッ子の群れにシーバスがボイルを繰り返す時がある。
夏場の平常時ボイルはルアーへの反応もすこぶる良いのだが、大雨によって流されてきた場合は何千匹とイナッ子が溜まるために、やはり『ルアーを喰わないボイル』が起きる。


そんな時の僕のかろうじての対応策としては

  • ○出来るだけ泳ぎの静かな(水を動かさない)ルアー
  • ○チャートやブラックのアピールの強いカラー
  • ○スローリトリーブ
  • ○回遊ルート、捕食ポイントを見極める
と、このような感じ。


今回用意したルアーはシコトゥイッチャーシーバスシュート11cmと他社のリップレスミノーの計3つ。

ベイトであるトウゴロウとシコトゥイッチャーを並べるとこのような具合。
キャストしつつも時折水面を割るシーバスの回遊ルートを観察する。
やはり風が作りだした水面の流れのヨレている場所で捕食しているようだ。

スローにスローに流れに乗せるように、水面直下を線を引くように意識してやるとゴツン!!という気持ちの良いバイト!!
産卵直前のウェイトの乗った最高のファイトはBLACK FIN 9.4fをフルベントさせてくれる。
強引に寄せるでもなく根に潜られないようにだけ注意してシーバスのパワーを堪能していると程なくして自然に浮いてくる。

70cm前後とサイズはもう一伸びして欲しいところだが、1時間半と短時間ながら苦手なパターンでこの夜は4キャッチすることができた。


12月11日
2日連続で横須賀に出張だった為この夜も昨夜に掴んだ『喰わないボイル』のコツを確信に変えるために三浦へと向かう。
前日最後に見て回った漁港の方がトウゴロウの溜まりも良くボイルも頻発しており、格好の練習の場に思えたので磯はパスして漁港に入ることに。

前日同様に強風ではあったけど到着すると予想とはウラハラに漁港にはトウゴロウの気配は薄い。
海の状況は変わらないのにこんなにも1日で変わるものなのか?

それでも夜の闇に包まれるまで30分ほど様子を見ていると漁港内は徐々に生命感を増していき、いたるところでボイルが起き始めた。
すぐさま昨日のパターンを試したくなるのをグッと押さえて先ずはこれが『喰わないボイル』なのかを検証する。
シートプス90のクリアーイワシをボイルを狙ってキャストを繰り返す。通常なら即ヒットしてもおかしくないセレクトだ。


が、10分以上キャストしてもやはりバイトがないので、どうやら今宵も『喰わないボイル』のようだ。
それではと早速昨日のパターンを試すべく、ルアーのトレースコースを読む。
漁港の明かりで足元の水面は明るい。半円状に伸びる漁港の明かりの輪。ぼんやりとした明暗の境目ではあるが明るい場所に入ってからの捕食のようだ。
明暗ギリギリの暗がりに身を隠し僅か2~3mほどの追いで喰っているのであろう。

捕食体勢の整ったボイルの瞬間を狙ってもトウゴロウの数が多過ぎてルアーがターゲットになることは少ないかもしれない。
追いが始まった瞬間にトウゴロウとシーバスの間に割り込ませる、昨年まではそんなイメージで攻めていたのだがこれではあまりヒットに繋がらない。
追いが始まりベイトが水面でピシャピシャやり始めたら、そのベイトの塊りの脇2mほど離した所を通過させる。
追われながら孤立したベイトを演出してやると狙い通り喰ってきてくれた。

前日の磯と比べるともう一回りサイズの小さい群れのようだが、見切られないようにレンジの違うルアーをローテーションしながら攻めることでヒットは続き、
終わってみれば9ヒット8キャッチ。


苦手意識の強かったパターンをキッチリ攻略でき、自身の成長を感じた冬の日なのでありました。


(2012年 12月)
久保田 剛之




Angler Photoアングラー 久保田 剛之
シーバスに狙いを定めて15年以上、豊富な実釣経験により蓄積された知識とデータを駆使して激戦区の湘南エリアをメインフィールドとして活動。fimoの凄腕トーナメントでは月間優勝の常連という偉業継続中の知る人ぞ知る敏腕アングラー。ニューブラックフィン・シリーズの開発キャスターとして2012年2月、ついに地元湘南で念願のメーターオーバーのシーバスをキャッチ。今後のさらなる活躍が期待される目を離せない存在。






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