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SAURUS > 釣行レポート > #47 104“メーターオーバー・シーバス”2本目の確信
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2012年2月18日に110㎝12kg を釣り上げ、暫くしてから
『狙って獲れた達成感』
『本当に狙って獲れたのか?』
この2つの想いが頭の中をグルグルと回っていた。

潮汐的タイミング、日時的タイミング、ピンポイントでのポイントセレクト、タックルセレクト、ルアーセレクト・・・
全てイメージ通りだった。
それは間違いない。
過去に同じタイミングに大物狙いで挑みラインブレイクやフックが伸びるなど悔しい想いを何度もして、その度に自身のタックル、釣り方などを見直し修正して年々積み上げてきた集大成の魚だった。周囲にも『メーターオーバーを狙うには・・・』という話もしてきた。しかし、それはメーターオーバーを釣ったことのない人間の発した言葉。発した後にたまたまメーターオーバーが釣れてくれただけかもしれない。自分自身が『狙って釣った!』と100%思える為には、もう一度自分自身の理論でメーターオーバーを釣り上げなくては!そんな想いで『年内にもう1本メーターオーバー』という目標を公言していた。

2月のメーターオーバーで得たことも大きかった。このSAURUSのHP内に掲載されている僕の前回の釣行記『小櫃川モンスターへの挑戦』にも書いたが、メーターオーバーは数を釣れば混じるものではなく、モンスター特有の行動パターンがあるということ。

その行動パターンを読んでドンピシャのタイミングで挑み続ければある程度の確立で釣れるはずだ。
この確率にはただ釣果を求める釣行は決して含まれない。
『メーターオーバーのモンスターが出るなら必ずこの日この場所この時だ!』こういう釣行でやっと1カウント。

この1カウントを増やす為に、
この1カウントのどこかでモンスターを狙撃するために、2012年の残りの釣行は全てメーターオーバーのために捧げた。
この日というタイミングは予め予想は出来ている。しかしこの場所だ!と言えるピンポイントを絞り込む作業は容易ではない。3箇所ほどに絞られてはいたが前日までのベイトの動向、地形、ありとあらゆることを把握できていなくてはこれ以上絞り込めない。

途中『このタイミングであそこにいけばランカー出るな~』なんて時も我慢。Xデー当日にどこに入るのか?を間違いなく選択できるためには、その3箇所の状況をとにかく知り尽くす必要があった。例えその場所が広大なサーフであったとしても『絶対にこの場所!このタイミング!』と一歩も動かずに自分を信じられるようになる為に。

こんな書き方をするとやりたい釣りを我慢したツライ釣りのように思われるかもしれないが、普通に釣りをしていたら一生出会えない方が多いメーターオーバー・シーバスを狙い打つ釣り。チャレンジするにはこれ以上の相手はいない。時には我慢も必要だけど宝探しのようでワクワクする。ノーバイトの調査が続いて心が折れそうにもなるけど、その心の奥底ではワクワクの火が静かに灯っていた。


モンスターが入ってくるタイミングは違えども良いポイントには違いないので、時折シーバスは遊んでくれる。




70cm前後が主体だったがハイシーズンということを考えると満足とはいえないサイズ。しかしひたすら下調べをしている日々の中では本当に嬉しい釣果だった。


11月6日
まとまった雨が降った。このタイミングでの雨、しかも必要雨量に達している。僕自身が狙いを定めていたXデーよりも1週間ほど早いが相模川の適度な濁りは沖まで伸びる。普段沖を生活の場としているメーターオーバー・シーバスを接岸させるには季節的には最高のタイミングと言える。

事前調査をしていたサーフに入った。
僅かだけどウネリが入っている。ルアーに引っかかってくることの少ない魚なので地元でもほとんど知る人はいないが、湘南エリアの河川周りのサーフでは雨が降るとツバメコノシロの群れが表れる。群れといっても内房河川のコノシロのような大規模の群れではないが、ベイトの種類に乏しい湘南エリアにとっては貴重なベイトだ。

大物をスレさせないように1キャスト毎の間隔をあけながら打っていく。
ミノー→シンペン→バイブレーションの順にルアーチェンジをして、徐々に飛距離を上げて沖の流れの中に届かせる。
ゴツ!という鈍い感触とともにBLACK FINが弧を描く。ウェイトのある個体・・モンスターかもしれない!! 遠く沖でエラ洗いが2回見えた次の瞬間、ヤツの反撃が始まった!反転を許してしまいドラグを引きずり出して一気に沖に出て行く。ちょうどシーバスと自分の中間地点にあるシモリ根にラインが触れてしまいラインブレイク。

しばし呆然したのちに急いでラインを結びなおして暫くキャストしていたら慰めるかのように70cmがヒットしてくれた。



結局この日はこの70cm1本で終わってしまった。もしかしたらラインブレイクした魚はメーターオーバーだったかもしれない。そもそも他の場所に入ればもっと多くのシーバスを釣ることが出来たのでは? ラインの太さが足りなかったか? もっと強引に行くべきなのか? 色んな後悔が頭の中をめぐりに巡った後『自分が予測した日は今日じゃないだろ!』と自分自身に激を入れ少し開き直れた気がした。


11月11日 Ⅹデー初日
日曜日とはいえ職場に出勤していた。遂に待ちに待ったタイミングになった。普段は沖にいるメーターオーバーが接岸する僅かなタイミング。今回の潮周りで僕の考えるチャンスタイムは3日間、トータルしても時間的には2時間ほどの時間だろう。
この日の予報では午後から雨。これ以上のチャンスはなく仕事しながら窓の外の雨を眺めるのが楽しくてしょうがなかった。

しかし期待通りに天候は動いてくれず、なかなか本降りにならずに日が傾いてきた。
雨の絶対量が足りない。神奈川県下の雨量データを見ても明らかだ。このタイミングでも
ノーマルサイズなら釣れるかもしれない。しかし狙っているメーターオーバーのモンスターは居るのか?口を使うのか?
とりあえず仕事を終えて相模川の水量、濁りを見に出かけたが期待とは程遠く濁り、水量ともに不十分で+αにはなりえなかった。

このタイミングで接岸するモンスターはどこでベイトを喰うのか?

前日までの調査では他の候補地にベイトの姿はなかった。この程度の雨ではコノシロも現れない。翌朝の朝マズメには必要雨量に達しているだろうが、その時間の他の候補地は僕の狙っていた潮位のタイミングと一致しない。

沖から接岸してくるモンスターシーバスがどのようなコースを辿り、どんなものを見て、どんなことを考え一撃必殺のバイトをするのか・・・

○ ベイトが不在
○ 流れが出る為の必要潮位
○ 雨という+αの要素を生かせるか否か

もう川しかない。
雨に寄せられて河川周辺に来たモンスターシーバス。しかしお目当てのベイトは不在。となれば上げで河川に入り落ち鮎の捕食ポイントまで一気に上がるだろう。そして下げっぱなで捕食。
雨が降ったから落ちアユパターンの川。単純思考のようだが考えに考え抜いた末に僕の思考は最後にはそこに戻っていた。



12月12日 Xデー2日目

朝3:50起床。
準備を済ませ4時過ぎに水辺に立つ。濁りも程よくほぼ上げ止まりといえども雨のお陰で流れは出ている。周囲を見渡すと先行者は数名。
しかし奇跡的に僕が狙っていた立ち位置は空いていた。このピンポイントは10月中旬に友人ザウラーの佐藤氏に付き合ってもらい、人のいない干潮時にライトを煌々と照らして二人で念入りに地形を調査した場所だ。この場所のブレイクは例年だと河川の流れに平行に入るものがほとんどだが、どういうわけか今年は河川の流れに対して横切るような方向でもブレイクが入っている。自分に対して上流側がシャロー、急激なブレイクを介して下流側が1.7mほどのディープ、そんな美味しいポイントが最も人気の高い立ち位置から十数mほど下流にズレていた為この日も空いていたのだと思う。

水辺に立ち本命のブレイクには決して通さぬように流れの速さ、ルアーの飛距離を確認する。
メインルアーはニューシートプス11.5cmのチャート。流れがかなり速い場所なので泳ぎが暴れすぎないようにとリップを5mm削ったものに#1のフックをつけて対モンスター用に準備したモンスタースペシャルチューン。


本命ポイントにキャスト開始。
キャストの度に間を取りながら少しでもプレッシャーが掛からないように気を配る・・・
20分ほど過ぎた時だったろうか、数にすると10投くらいだろうか。『カシュッ!』と対岸にかすりながらルアーが着水。

僅かにリトリーブをしてルアーの流される姿勢だけをコントロールする。


パシュッ!


派手な音ではなく尻尾の先だけが水面を揺らす、スタートはそんな静かなバイトだった。
フルスイングでアワセを入れると確かな重さが伝わる!そこから更にじわじわとロッドに伝わる重さは増していき大型特有のストロークの長いエラ洗いが静寂の河川に響き渡る。

デカイぞ!!

エラ洗い後、下流に頭を向け流れに乗り反撃に出ようとするシーバス!

ドラグを緩めるか?

しっかりとアワセが入るようにドラグはかなり強い設定にしてあるのでそれを緩めるか否か?

否!BLACK FINでその反撃を真っ向から受け止める!!仮にも#1フックでフッキングしているのだからフックが伸びる心配はない!万が一下流に走られて自分も把握できていない川底の流木やストラクチャーがあった場合を考えると、ボトム形状を全て把握出来ている今のこの場で勝負だ!!

弧の字に大きく曲がったBLACK FIN。自らも上体を仰け反らせて更にロッドにウェイトを乗せていき負荷の中心をバッドに伝達させる!

尻尾がラインを叩く感触が伝わり一瞬ヒヤッとしたが無事に頭の向きを変えることが出来た。ファイトを長引かせてフッキングポイントが広がりルアーが外れることは避けたい。急なブレイクにラインが触れぬように浮上させたら一気に岸まで引き寄せる!

砂利の川辺に巨体が見えたが重さがあるのでズリ上がるわけもない。
慌てて駆け寄りグリップをかけた!


そこに横たわるのは腹がパンパンに膨み白銀に光る神々しいまでの巨体だった。



ヒットしてからこの魚体と対面するまで時間にしたら1分もかかってないと思う。しかし全てのシーンがスローモーションで流れ、この魚を眺めている今も頭の中でリプレイが繰り返される・・それほどの興奮が全身を駆け巡っていた。

確信はあったがドキドキしながらメジャーをあてると

104cm 10kg

紛れもなくメーターオーバーのモンスターシーバス。


年内にもう1本メーターオーバーという途方もない目標を達成出来た瞬間だった。
本気で狙う覚悟を決めて追いかけたメーターオーバー。この魚と出会う為なら残りの釣果は全て諦める覚悟で臨んだ2012年の秋。




達成できた満足感から空を見上げると東の空が明け始めていた。
1メートルを超える魚がショアで釣れる、そんな自然環境がいつまでも続いて欲しいと思う。







(2013年2月)
久保田剛之




Angler Photoアングラー 久保田 剛之
シーバスに狙いを定めて15年以上、豊富な実釣経験により蓄積された知識とデータを駆使して激戦区の湘南エリアをメインフィールドとして活動。fimoの凄腕トーナメントでは月間優勝の常連という偉業継続中の知る人ぞ知る敏腕アングラー。ニューブラックフィン・シリーズの開発キャスターとして2012年2月、ついに地元湘南で念願のメーターオーバーのシーバスをキャッチ。今後のさらなる活躍が期待される目を離せない存在。






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