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Jun
ESSAY: Jun


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4時半。朝靄に包まれた水面。虫一匹いない静寂を1つのルアーが猥らに破壊する。
ただしそれは、水に絡みつく金属羽の滑らかな動きと、温もりを感じる木々のたたき合う音。自然界に溶け込む音質。



ジョインテッドバード
ワンダーバードに比べて格段にアップしたフッキング率。見た目以上に小さなシルエット。使い手に結ばせる勇気と、釣果という結果をもたらせてくれる。


日向と日陰が定まらない早朝、エサを求めに持ち場を離れたバス達を呼び寄せる、不思議な音色。バスがジョインテッドバードに引率される不思議な光景。


「ズドン」・・・確かそんな感じ。
岸際から3メートル離れたところで「注目して!」と結んだホットタイガーカラーがみるみる水中へと消えていく。


ここの野池は深い。
鯉ではないが、そんな重み。
「おい、どこまで潜るんだ」
フェンウィック2054が水中まで絞り込まれる。


急にラインテンションがなくなる。
0.1秒以内の感覚。
「水面に浮上してくる!!」


必死でリールを巻き、ラインテンションを張る。
1メートル手前で一気にエラ洗い。
「おーい、あのデカイルアー真横に咥えてるよ!」


また一気に潜る。耐えながらもドラグを微妙に緩める。
「こりゃ、ヤバイパターン、あのフッキングだとテンションバランス悪いな」
グイグイ引きこまれる。



この時期、千葉の釣りは非常に楽しい。
プリスポーン、スポーニング真っ最中、アフター、アフター回復バスが入り乱れている。
とにかく、ガンガン投げて、やる気のあるバスを見つけて行く釣り。
キャスティングも、いつも隠れている岸際がこの時期だけオープンになるから投げやすい。


ジョインテッドバードホッツィトッツィーの「線の釣り」から、日が昇りきってからの「線と点の釣り」。

「羽モノ」→「ダブルスイッシャー」→「シングルスイッシャー」
この時期の必勝パターン。


そう、ウッドゥンスマートアレックは私にとって最高の武器。
最後の時間帯、シェードへと戻るバス達を可能な限り連れて来てくれる。



7時過ぎ、岸辺に向かう。
軽トラに乗った農家の人と談笑する。
「折角の遊び場だから、事故だけは気をつけてね」


ここは車で1時間半の野池。
3つの奥まった暗闇ワンド、いつも生い茂るオーバーハング。トップウォータープラッガーを苦しめるバラの蔦。そして2つの流れ込み。
もちろん立木、葦場あり。


つまり立派なバスポンド。


今ここで釣りが出来るのは地元の人からの温かいプレゼント。
「これからも遊ばせてください」
そう挨拶し、いつもの釣り場をあとにした。



「今日は身近に逃避行」
帰り道、車の中、・・・そんな気分だ。

釣りが日々の活力となる。

(2010年5月)


Jun





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