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SAURUS > ケーススタディ & フィールドトライアル > Vol.1 [Case Study] 夏の渓流をどう攻めるか・ヤマメ・アマゴ
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TOKYO ROD & GUN CLUB 田中 秀人Vol bottom line
夏の渓流をどう攻めるか・ヤマメ・アマゴ
 ~ 飛騨高山編
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暑い夏・・・から酷暑へ・・・
猛暑・・記録的な・・・観測史上最高・・・
ここ数年 聞きなれた言葉が並ぶ。
厳しい気候になれば厳しい気候になるほど、トラウトも人もだれてしまって釣りはますます厳しくなる。
春ゼミからミンミンゼミ…アブラゼミ…ツクツクボウシ…ヒグラシ…セミが移り変わって、さらに止めどもなく額を汗がしたたり落ちる。
でも夏のシビアなヤマメ・アマゴを釣りたいんだ!!さてどうする……。


地球的にも熱帯が砂漠に亜熱帯が熱帯にグラデーションのように移行している。
春とは程遠い冬の終わりから氷水に浸かって、スタートしたトラウト ゲームも暑さとともに繊細にテクニカルになる。
酷暑に渇水にと思ったら、さらにはゲリラ豪雨にと極端な状況の変化で、状況の見極めがさらに難しくなっている。
しかし、釣れないのか?
いやいや、条件に合わせて引き出しを多く持てば対応できる。


今回のケーススタディーのテーマは夏のヤマメ
飛騨のレインボーやイワナの話は何回かエッセイでも触れていると思うので、今回は夏ヤマメ夏アマゴにテーマを据えてみましょう。


4月・5月、盛期の活性の高いトラウトたちは条件が重なれば爆釣なんてことも珍しくない。
しかし、過酷な夏の渓流では昔から「夏ヤマメ 一里一匹」(4㎞歩いてヤマメ一匹)なんて言葉もあるぐらいで、投げて巻けば釣れるなんてイージーなもんじゃない時もある。


シンプルな精神構造ながら天邪鬼(アマノジャク)の田中 ヒデ。
釣れないとなると、ますます意固地になって何としても釣ろうとむきになる。
渇水、ジンクリアーの水、神経質になってチェイスは一度きり…
そんなシビアな夏の渓流で、その条件で狙えるその流れのマックスサイズのヤマメ・アマゴを見据えて、それをどう狙うか!!
スプーキーになっている警戒心マックスのターゲット…
ただのリアクション バイトを狙ったタクティクスやトゥイッチングでは通用しない…恐るべし!!夏ヤマメに夏アマゴ…


雨が降って増水して引き際に爆釣!なんてこともないわけじゃないけど、
今回のテーマは、「釣れない タフな夏のヤマメ・アマゴをどう狙うか」に絞ってお話ししてみたい。
これが出来れば、条件が上がればさらにプラスアルファで釣果が伸びること間違いなし。
条件をクリアーしたその先には、憧れの夏のビッグトラウトたちが待っている。
狙ってそれを釣ることが出来たら、引きもプロポーションもサイズも究極。
憧れの領域に突入する。
夏のワイルド ビッグトラウトは強く生命力がみなぎりベストコンディションだ!
そして、悩ましく・・いとおしいまでに美しい。
僕はこんな夏の渓流トラウトたちを心底、愛してやまない。
それになんてったって夏の渓流はテクニカルで理屈抜きに面白いんだ。
飛騨にはそんな愛すべきトラウトを狙える渓流がゴロゴロしている。


釣れないワイルドな夏のヤマメ・アマゴをどう釣るか…
あきらめる前によーく考えていろんな引き出しを使ってみる。
そんな夏場の困ったときに有効な引き出しのお話を綴ってみたい。


「狙え!夏渓流の大ヤマメ・大アマゴ」


憧れ!流れの宝石 渓流の尺ヤマメ・尺アマゴ。
春先に20㎝台の魚体も夏に飽食して尺を超えてくる。
大ヤマメ・大アマゴを狙うには夏以降がより出会える確率が高くなる。
ヤマメ・アマゴは一度産卵してその生涯を終える。だから産卵の時期に近づけば近づくほど成長して尺上への可能性は高くなる。


ポイント選びは流れを読むところから始まる。
特徴として流心の一番エサの取りやすい先頭の良いところに一番大きな個体が位置取る。
渓流でも流心をかなり意識した釣りになる。
岩魚がストラクチャーならヤマメ・アマゴは流れのライン(フィーダーレーン:流れの中で捕食するライン)を意識して狙う。もちろん石周りやストラクチャーの陰もポイントを見る重要な要素だが、
遊泳力の強いヤマメ・アマゴはよりフィーダーレーンをつかむ釣り方を意識したい。
釣り方はビッグトラウトの中では特殊だ。


大型のトラウトになると反転して下流に追っかけてきて喰うことは
あまりないのだが、ヤマメ・アマゴに限っては40㎝を超える超大型になっても反転して喰ってくる。
大胆にアタックするその割に学習能力が高く警戒心も強いので、渓流で釣り下ってしまうと尺を超えるヤマメ・アマゴにはなかなか会えない。
大河川や本流支流でも水量が多い大きめの支流となるとクロスやダウンの釣りも有効だが、一般的な渓流では釣り上りが鉄則だ。


今回のスタディーケースは飛騨の渓流でのタクティクスの紹介。
宮川水系の支流や飛騨川水系の支流 益田川などで ヤマメ・アマゴを狙う。
基本的には飛騨川水系はアマゴで宮川水系はヤマメなのだが、宮川水系ではアマゴとヤマメが混成しているエリアも多い。
ヤマメとアマゴは近縁種でその性質や狙い方はほとんど変わらない。こうした混成しているヤマメとアマゴに狙いを絞って狙ってみよう。


本流の大物も楽しいがこうした支流の尺狙いもテクニカルで楽しい。
渓相は淵あり、瀬あり、落ち込み有、岩盤ありと変化に富んでいかにも釣れそうなポイントが連続する渓流らしい渓流での釣行となる。
その中でも、エサの取りやすい場所は何処か、その流れの中のフィーダーレーンを読みながら進んでゆくのだ。
周りは広葉樹林、苔むした岩場を越えながらテンポよく釣り上がってゆく。
平水では川通しが可能で、場所によって右岸に渡ったり左岸に渡ったり繰り返しながら釣り上がってゆくのだが、一度増水すると渡れない水量となる。
こういった規模の支流域での釣行がメインだ。
ケーススタディーの実証は 宮川水系 川上川、小鳥川、宮川源流部や飛騨川水系 益田川など状況を見ながら渡り歩く予定。
高原川水系、庄川水系の支流群も合わせると、飛騨高山は360度トラウトフィールド「に囲まれ、より条件の良い河川を考えながら選ぶのも、また悩ましく楽しい。


こうした規模のヤマメ・アマゴの渓流は全国津々浦々いろんな処に存在している。
今回のケーススタディーが参考になればと思いたち、数ある僕のスタイルの中から、このテーマに絞ってみた。


この規模の渓流のヤマメ・アマゴ狙いは釣り上がり、アップストリームの釣りになる。
基本は流速よりやや早くミノーを泳がせて軽くトゥイッチを入れたり、絶えずシェイクを入れたり、積極的に誘ってやる。
使用ルアーはTY-REX7㎝やトランの7㎝などフローティングミノーでキビキビとテンポよく釣ってゆく。活性が高ければ派手な色にも反応が良、チャートバックもヤマメ釣りのなかで僕の定番カラーだ。条件が落ちれば落ちるほどカラーはナチュラルなものを使う、ワカサギやアユカラーは出番が多い。金黒はさらに厳しいジンクリアー時に有効で、シルバーベースは光りすぎて逆効果と判断すると金黒の出番となる。シビアになればなるほど色はナチュラルで地味なものを選ぶ。金黒でも駄目なら最後はガンメタ黒に頼る。(虫を食っている夏のトラウトには最強。食性を失ったターゲットにも必殺。最後の砦は黒になる。)
TY-REXの場合だが、5㎝サイズは大型狙いとなるとやや小さいかと感じる。フックサイズ、ボリュームも含めて、7㎝の使用がメインとなる。


僕はベイトキャスター56ULでこの釣りを組み立てる。5㎝のTY-REXやブラウニー5Fだと平川の制約のない里川では使用できるが、制約のある渓流だとノンストレスで使用できる7㎝Fからがベイトキャスター ローテーションの中心となるサイズ選びだ。
ベイトキャスターのメリットはキャストが正確に決まる事。そしてベイトリールを投げること自体が楽しい。それから何と言ってもベイトタックルはかっこよくて美しい。
だから僕はベイトキャスターですべての釣りを組み立てる。
意地になって始まった、渓流でのウルトラライト ベイトキャスターの世界も、必要な道具を開発し、対応した性能にリールをチューニングして今ではノンストレスで渓流でもベイトキャスターを手にしている。
3年間構想を具現化してフィールドでテストを重ね、何度もやり直して完成したベイトキャスター56ULは今回僕が解説する夏の渓流の絶対的相棒で、もう体の一部となってしまった。「56UL ベイトキャスター」来春発売予定です!ご期待ください!


リールはアンバサダー2500番クラスの左巻きを使用している。
渓流の場合、着水してすぐリトリーブを開始したいので、右投げで持ち代える必要がない左巻きリールを使用している。スピニングだって右で投げたら左巻きが定番ですよね。特に渓流では左巻きのすぐにリトリーブに入れる優位性は重要だ。
2フィンガーパーミングホールドでキャストすればリトリーブ時に握りなおす必要がなくなり、手返しはさらによくなる。投げて持ち代えずにそのまますぐ巻くことができるのだ。
アンバサダーの2601Cはギア比 5.3:1
さらにスピードが欲しい時は、アンバサダー2501cに6.0:1のハイギアを組み込んでアップストリームの早引きに対応している。
これらのアンバサダーは軽量ルアーが投げられるようにウルトラライトに徹底的にチューニングしている。ショップでアンバサダーを購入してそのまますぐに3gのミノーが投げられるわけではないのでご注意を。
てっとり早くノンメンテナンスで使いたいのならば、国産の最先端リールをお勧めする。
ダイワやシマノのモダンなエリアフィッシング用のベイトリールは、購入してそのままで渓流のウルトラライトフィッシングに使用できる。こうしたハイテクのリールを使えば渓流のウルトラライト ベイトタックルにエントリーしやすい。
それでも、どうしても美しいアンバサダーを渓流で使いたい場合には、内部のベアリングを増やし、マグブレーキや軽量スプールを導入し回転の良いオイルで組みなおす等のチューニングが必要となってくる。ここまでやると国産ハイテクリールに遜色なく、渓流でのアンバサダーが輝いてくれる。


ラインは6lbのグリーンで視認性の良いラインを選ぶ。
暗い渓流で正確にキャスト+リトリーブするには視認性が必要となる。
ただし、最悪の渇水でマックスにターゲットがおびえているケースはクリアーブルーのラインを使うこともある。
ベイトリールには適度に張りがあって、柔らかすぎないラインがしっくり決まって扱いやすい。スピニングリールと違って、糸よれすることがないのでバックラッシュの問題だけクリアーすればラインの強度は安定して持続する。
糸よれが少なく、トラブルが無いのでスピニングで4lbラインを使う状況でも、ワンランク太い6lbラインが使える。不意の大物に対して安心できる要素だ。
6lbって太くない?と思われるかもしれないが逆に細いラインは大物がかかった時にスプールにラインが食い込み、トラブルが起きやすいのであえて6lbをチョイスする。
本流での釣りはシステムラインを組むが、支流での釣りはルアーの動きを重視するためダブルライン又は直結で6lbラインを使用している。
渓流の尺上狙いならばリーダーは必要ないだろう。


さて本題に戻りますが、ヤマメ・アマゴはテリトリー意識が強く、捕食ではなく威嚇でアタックすることも多いのでパーマーク ヤマメパターンのカラーもかなり有効なカラーと言える。
渓流の中でもヤマメ・アマゴはダントツに意地悪で、敵も味方もあたりかまわず追い払って強い物が良い位置を占有する。その攻撃性を最大限に刺激して、ヤマメカラーでバイトさせたい。


と書き進みましたが、うん??なんかそれって、ベイトでやるって以外は普通じゃない??
そう、普通というよりもヤマメ釣りのセオリーのような釣り方でしょう。
だが、これですべてが解決しないところが又面白い。


これからが核心の部分となります。
僕はベイトでやりますが、スピニングタックル使用でもベイトタックル使用でも通用するテクニック解説をしますので、スピニングの方も参考にしてみてください。


さて、このシビアな夏のヤマメ・アマゴ。
フローティングミノーでキビキビと数も型もそろうのならばそれに越したことは無い。
ところが夏も進んでより条件が厳しくなると、この釣り方だけで小気味よくテンポよく釣れ続けるほど甘くないのである。
ここまでは盛期から夏場の条件が良い時に通用するテクニック。
つぎに、どんどんシビアになってゆくヤマメを狙う作戦を解説します。


条件は刻々と変化する。
アレッツ?とかんじたらすぐCDレックス スーパーシンキングを取り出す。
5㎝と6㎝の選択は川の規模と、増水か渇水なのかその時の水量条件で選んでみる。
6㎝を選んでいても活性がさらに低いと判断すれば迷わずすぐに5㎝に落とす。
どちらかと言うと5㎝の使用比率の方が高い。


さらにシビアになると ブラウニー5㎝シンキング(2.5g)も使用する。
ブラウニー5S 2.5gは実にキビキビ動いてくれる。


ブラウニー5Sにはザウルストレイン発売初年度の2.5gシンキングと 2年目 3年目に発売のヘビーシンキング 3.5gがある。
ヘビーシンキングの方はより飛距離と沈下速度に優れている。動きを出すためにアクションをつけてアングラーが積極的に動かしてやると効果的に誘ってくれる。
リトリーブで使うノーマルシンキングと比較的流れが静かな場所にて一か所でモゾモゾやってドリフトさせて使うヘビーシンキングと2種を明確な使用法の違いでもってシチュエーションごとに使い分けているのだ。
2011年モデルのブラウニーシンキング5㎝は、2.5gのノーマルシンキングでの発売となっている。


最初に解説した、フローティングのアップストリーム+トゥイッチンの釣りと同じ釣り方をしてもシンキングミノーだとほんの10㎝だがスイムレンジが深くなる。
そのわずか10㎝の差で、釣果が大きく違ってくる。
シンキングミノーを使うと、深みに落とし込んで上下に蝶々のようなアクションを加えたり、ボトムを取ってからアクションを始めたりと、広くゆっくり探れるのもメリットだ。


状況を見ながら頻繁にルアーチェンジするのでザウルス クロスロックスナップ#1は必携だ。クロスロックは登山などでも使用される金具の構造で、引けば引くほど締まる構造になっている。軽量小型でも強度が高く大物にも安心して対応してくれる。
たかだかスナップと言えども、メモリアルなトラウトにスナップが引きちぎられたなんてことが無いよう常に備えたい。タックルを強化しても一番弱いところにほころびが出てしまうのが失敗の大きな原因。たかがスナップとあなどることなく、小さくて軽くてしかも強度の高い信頼できるスナップを選びたい。


次に進めましょう。
さらにシビアになると、ちょっとしたことが釣果を大きく分ける。
リトリーブコースの問題が一つ。
ただトゥイッチングを加えて流れより気持ち早く引くだけでは効果は薄い。
基本は流心の少し脇を引いてくるのだが、ちょっとした角度の違いで喰ってきたりするので怪しいなと思ったら、少し立ち位置を変えてアップクロスに流したり角度を変えてバリエーションを変えてやるとでかいのが一発で喰ってきたりする。
例えば渓流のやや左岸側に立ち位置を決め、流心の右岸側脇にミノーが着水して流心を横切り流れを横切ると下流を向いているミノーが気持ち右に傾く。そこで一度ロッドを反対に左岸側に寝かせて立て直してからまた右岸側に倒してリトリーブする。アクションは常小さく小刻みに加えてやりたい


しっかりルアーを動かす。なるべく長くバイトゾーンにルアーを置く。
相反するようだが常にルアーが動いているようになおかつ、なるべくバイトするチャンスを多く作るために長くバイトエリアにミノーをとどめておきたい。活性があれば早引きのハイパートゥィチンでも喰ってくるが、条件が下がれば下がるほどユックリそしてしっかり小刻みにミノーが動いているようにと意識している。


さて、ここまで皆さんフォローできていますか?
次にとても大切なことを一つ。
リミットラインの問題。(ポイントにどこまで近づくのか?どこまで近づいたらヤマメに見切られるかのラインがリミットライン)条件がシビアになればリミットラインも遠くなる。
釣果が芳しくない時はリミットラインを疑ってみよう。条件が良い時はOKだったリミットラインが少し遠くなっていると冷静に考えれば理解できるはずだ。
ストーキングや音をなるべく立てずに川を歩くのは当然のことだが、
シビアになればなるほどリミットラインをいつもより離れたところに設定して、さらにロングキャストでピンポイントのコントロールキャストを決めなければならない。
ポイントの一段下から距離を取って狙うことが必要になる。
フローティングミノーでその距離に届くのか?シンキングでもサイズダウンとプリプリのナチュラルな動きを優先してブラウニー5Sなのか?飛距離を重視してヘビーシンキングかスーパーシンキングなのか?
これを見極めて、組み立てるのがタクティクスの中核なのだ。
常々こう考えている。「ビッグトラウト フィッシングはジグソーパズルだ。」
作戦を立てて、一つずつ組み込んでゆく。最後の一コマが決まった時にパズルは完成して
狙いのビッグトラウトがネットにおさまる。


ロングキャスト、ピンポイントキャスト、薮の間を打ち抜き、狙ったスポットにライナーでミノーが飛んでゆく。
会心のキャストが決まれば悦に入る。
難しいキャストを決める楽しみ FUN TO CASTがここには存在する。
テクニカルなキャストに挑むこと自体が楽しい。
作戦が決まりキャストが決まれば、今まで手が届かなかったビッグなワイルドワンが手におさまるだろう。


ただやみくもに釣りをするのではなく、考えて釣りをする事が重要だ。
そのためにキャストを磨くという ハードルがあり、それらを一つ一つクリアーしていくのもこのテクニカルな釣りの楽しみだ。


最後にもう一つ。裏ワザ登場!!
ヘビーシンキング ミノー「CDレックス スーパーシンキング」が産まれてから進化したテクニック、「スーパースロー ドリフティング」を紹介しよう。
いままで紹介したどの釣り方でも今一歩しっくりこない時は、かなり特殊な釣り方をする。
ミノーの構造と言えばリップがあって、そのリップが水圧を受けてローリングしたりウォブリングしたりとアクションが産まれる。
そうした構造を無視した釣法である。


「スーパースロー ドリフティング」の考え方は
流速より遅くヘビーシンキングミノーを引くところから始まる。
これは幼少のころから親しんだ渓流でのミャク釣り(エサ釣り。目印とガン玉と針にエサという、日本古来の代表的な渓流の釣り方)の考え方の応用でもある。

流れには上層の引き波とその下の少し流れが遅い喰い波がある。
流れは複雑に2枚以上になって流れている。
そのボトムの喰い波よりちょっとだけ遅くヘビーシンキングミノーをドリフトさせてやる。
繊細にラインスラックを取らなくてはいけないので、流れがほんの少し緩くなる流心の少し脇を通してやるのが肝。
この場合ミノーのリップは泳ぎを生む機能は全く果たさない。
リップはミノーを安定した姿勢に保つ補助的な役割と、アングラーがアクションを加えた時に水をつかんででモゾッと動かしてくれるアシスト的な役割となる。


このように書くと、ボトムを転がすの?と誤解されると思うが、ボトムから少し浮かせた位置をドリフトさせながら引いてくるのがポイントとなる。
喰い波より遅く引くと、たしかにボトムを転がる。
そこで、絶えずアクションを加えてやると少しだけ浮き上がって、見事に流れにのってモゾモゾともがきながら、底を切ってドリフトしてゆく。
それでも、底を転がってしまうときは、アクションさせるロッドの角度を水面から5度、15度 30度 45度 時にはロッドを立てて上へ上へとアクションさせて底をぎりぎり切るロッドの角度とアクションの強さを探って見つける。
絶えずアクションを加えることをお忘れなく。流すだけではルアーは全く泳いでいません。
アングラーが動かしてミノーに命を与えるのです。


「スーパースロー ドリフティング」をまとめると
・ヘビーシンキングを使う(時にはさらに鉛を貼ったりする)
・流れより少しだけ遅く引く
・ライスラックをしっかり取りながらドリフトさせる
・そのまま流れると底を転がりごみと一緒になるので、アクションを常に加えて動かして 底を少しだけ切る。


流れを読み、ストラクチャーを読み、うまく流せたら今までひろえなかった、ビッグワンのバイトをつかむことができます。
ヘビーシンキングをここまで使い切って、作戦の全容を組み立てます。


さて、長々とねちねちと夏ヤマメの攻略法を書き綴ってきましたが、参考になりましたでしょうか?
恐るべし! 夏のヤマメ・アマゴ!


さてここで ザウルストレインから指令がやってきた。
今回のケーススタディー特集は先に釣法を解説して、その後フィールドに出かけて
実行し釣行記をフィールドトライアルとしてまとめるという、セットになった企画とのこと。
今回のHOW TOをもとに実釣して釣行記を書き上げるという趣旨だ。
早速 フィールドリサーチに河川パトロール開始!!
明日の早朝 狙いの支流に出動です!!
近日釣行記をまとめます。お楽しみに!!。

(2011年6月)
TOKYO ROD & GUN CLUB 田中 秀人




Angler Photoアングラー TOKYO ROD & GUN CLUB 田中 秀人
トラウトプラッギングとワインを愛する工芸品アーティストでソムリエ。そして飛騨高山を愛する、田中秀人が綴るエッセイ。フィッシングのみならず、"旨い"話しを。


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