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SAURUS > ケーススタディ & フィールドトライアル > Vol.2 [Field Trial] 新天地「琵琶湖」に挑む。
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新天地「琵琶湖」に挑む。




「大型台風直撃後。濁りあり、サカナは底にベッタリか!?」
ケーススタディの時に比べ、気象状況が明確になった。
これで、漠然としていた釣行のイメージが具現化できる。


琵琶湖、早朝3時。予定していた1番目のポイントに到着する。
ライトを頭にのせて、ウェーダーマン達が水辺へと向かっている。
威勢のいい関西弁が漆黒の闇に響き渡る。
この時間でも釣り人が多い。うれしいことだ、まだまだバスフィッシングは盛んである。
我々も釣り場の様子をのぞきに行く。インレットを取り囲むようにポツポツと明かりが灯っている。
問題の水の状況を確認する。
足元の水面をライトで照らす。
「うん、大丈夫だ」
川の水は濁っているが、予定ポイントである河口横ワンドの水はかなり澄んでいる。
「何とかなる」
出艇の5時までは、あと1時間半。
他の予定ポイントを探りにいく。

車を走らせ20分。2番目のポイントに到着。
早速、水面にライトを照らす。
「うーん、ちょっときついか!?」
川の濁りは勿論、ワンド内の水もひどく淀んでいる。何より生命感がない。
このポイントは見切ることにして(3番目のポイントは後日)、再び1番目のポイントに戻り、5時過ぎに出艇した。


今日の天候は晴れ。湖西側につき、日が昇るとあっという間に水面のシェードが無くなる。
あの強烈な光量にさらされるまでの3時間。タイムリミットは8時。


「ポイント」
釣具屋情報では、今年アユボールはほとんど発生していないとのこと(水面秋パターンはまだ早い)、更には台風で水質が悪くなり、ウィードの底にベイトもバスも移動している状態らしい。
そこで以下の条件を満たすポイントに狙いを定めた。

1.シャローエリアの水が綺麗であること。…台風の影響を受けていない。
2.マンメイドストラクチャーと葦とゴロタ石(敷石)が隣接している場所。…居着きバスにとって最高の隠れ家&最高の餌場。
3.シャローから程なくして急激な駆け上がりとキレイなウィードが生えている場所。…バスが最短距離でウィードの根元からシャローに移動できるポイント。ウィードに付くバクテリアの不純物浄化作用で綺麗な水が生成される。
4.インレット近く、濁りの回復が一番早い(可能性が高い)…酸素をたっぷり含んだ綺麗な水。

琵琶湖の地形の書かれた釣り雑誌を読み、最新の情報を釣り具屋に確認。
3つのポイントを事前に絞り込み、今日水質を確かめ、1番好条件のポイントに入る。
そのポイントで居着きバスを狙い、更には回遊バスを待ち伏せする作戦だ。
初琵琶湖、雑誌どおりの地形ならいいが…・魚探を使うスタイルではないので信じるしかない。



「キャスト」
駆け上がりに沿って岸と平行にボートを流し、岸際のダブルシェード(マズメの暗がりと本来のあるシェードが重なるところ)のやや奥を狙う。
また岸際ギリギリには投げない。限られたエリアである。ミスキャストでポイントを潰す方がもったいない。マズメ時であれば、手前でも十分好ポイントとして通用する。
ただしリトリーブはボート際まで行う。


「ルアー」
シーズナルパターンは少し読みづらい。サマーパターンの終盤と気の早いシャローでの飽食を意識したデカバスをイメージしてルアーをセレクトした。
ベリーカラーはマズメ(薄暗がり)ということで、バスが視覚的に見つけやすい「白」を主体にした(タイミングで黒もまぜる)。

1.控えめなスイッシュ音でバスをナチュラルに誘うプロップシャイナー(RH、ホワイトコーチ)
2.底まで響き渡る金属音でバスを誘惑するダンプティクリンカー(グロー)
3.フロントスイッシャーとフラップテールによる圧倒的な集魚効果が期待できるマンボー(グリッターシャッド、リミテッド)
4.バスの捕食音と捕食バブルを再現できるノックンスピン・ビッグ(パロット)

以上のルアーをローテーションさせながら、駆け上がりポイントに浮かぶボート際まで引き倒す。
※ ケーススタディをベースに現場検証を行い、上記内容に絞ってトライアルする。あくまで音で呼び寄せる3次元の釣りを意識しての釣りである。
※ デカバス狙いということなので、もしもに備えてランディングネットは持参した(笑)


「実釣…クライマックスは早すぎた」
日が昇りきる8時まで、時間は十分にある。湖面に波はない。朝凪だ。
同船の森下さんはウッドゥンホッツィービッグとアンクルチューバを投げている。
岸際には、オカッパリの釣り人が二人、沖に向かってワームを投げている。
振り返ると沖のボートの釣り人が、ウィードの底を探りながらジグ打ちをしている。
自分もテンポ良くルアーローテーションを行いながら、シャローエリアから駆け上がりまで丁寧にアクションさせている。
岸際には、切れたウィードやゴミが溜まっている。水は綺麗なのでストラクチャーとしてとらえて釣りをしている。

葦の影から投げたプロップシャイナーが申し訳なさそうに顔を出す。
秋口、友人が恋瀬川で出会った54cmバスの時の動かし方。静かに忘れ去られたような存在感でそっとペラをまわす。

マンメイドストラクチャーの横、突如現れた異質物ダンプティクリンカー。
夏も終盤。トップノッチが三種川で遭遇した55cmバスの時の動かし方。タダ引きで奏でる音が、マンメイドに反射して周りのバスを呼び寄せる。

静寂の湖面。唯一の喧噪。この引き波の先端にはマンボーが泳ぐ。
9月連休。花山が東北野池で力比べした50cmポットベリーの時の動かし方。タダ引きでもダントツのアピール力。猛り狂ったバイトを引き起こす。

葦とマンメイドが重なり合う深いシェードの中、釣り人が振り向く先にはノックンスピン・ビッグ。
春。千葉野池で私に2匹目のビッグバスを授けてくれた時の動かし方。弱ったサカナを装う不可思議な引き波ダートとジュルルルと響き渡るペラ音の主張、そして秋使用として激しいジャークも追加した。

常に大物を釣ることだけイメージして、キャストとアクションを繰り返す。
だれかにバイトがあれば、何かしらのヒントになる。
自分のルアーにバイトがあったら、それが答えなのか。

5時45分、今だ水面に反応はない。
「どうする!? 色を変えてみるか!?」と悩んだ時、
信じて投げ続けたルアーに、いきなりバイトが訪れる。



ルアーローテーション3周目…ノックンスピン・ビッグの順番となる。
葦際の手前には50センチほどの水草のマット。
そこから更に手前20センチのところにちょこっと顔を出す、ゴロタ石。
…「かなり浅いな」と感じる。
着水と同時に「ジュルルル・・」とペラ音でアピールさせる。
落下物を狙うバスに対抗できるようにラインテンションは常に張っている。
次は強めにジャーク。バスの補食時にできるナチュラルなバブルを再現させる。
そして次のアクションに入ろうとした一瞬の間。
ノックンスピン・ビッグの後ろ10センチ。水面が大きく盛上がった。

波はない。バスだ…・
盛上がった水面ごと「ノックンスピン・ビッグ」が水中へ飲み込まれた。
タイミング良くロッドを立てながら、巻き合わせをする。
(よし、ノッタ!!)
「(水面に)出しますよ」とロッドを立て、森下さんに合図する。
まだまだ余裕の空気が流れている。
しかし水面になかなか魚体が現れない。
それどころか、我々のボート下、駆け上がりの下にグングンとバスが潜って行く。
明らかにボートの反対側までいっている。

ここでやっと異常な事態に気づく。
「則さん、頼むぜ~」とつぶやきながら、骨董品スーパーストライカーFO-60を思い切りしならせる。
やっとの思いで、戻ってきたバスがついに水面を割って顔を出した。
間髪入れず、「デカイ!!」森下さんが叫ぶ。
続けて「ハッ、デカッ!!」と私が叫ぶ。
見事な魚体だ。グルッと反転してまた潜り込もうとする。
そうはさせまいと頭を水面に誘導する。
早々のクライマックスが出艇45分に訪れる。
再度、重いジャンプで水面が破壊される。
暴れるバスを凝視し、ルアーの位置とフッキングポイントを確認する。
そして、フックが下顎と左サイドにかかっているのを確認し、あっさりハンドランディングをあきらめ、一瞬の隙をついてネットランディング。
(そう…あれほど美しくないと否定していたネットランディング)


ただしそれを差し引いても余りある至福の二分間。
船上には、フックが派手に伸びた「ノックンスピン・ビッグ」と60アップのバスが横たわる。


「…ハッ、やりましたね」とホッとする自分と…
「ネットを手にしてしまうとネットありきの釣りになってしまう」と落ち込む自分。


「帰って祝杯を上げたい気分だ」と森下さん。



「琵琶湖なら、大きいサイズが簡単に釣れる!」という暗黙の了解。
季節の変わり目、天候、初場所等、直前まで条件を絞れず悩んだ「新天地」でのケーススタディ。
日が昇るとわかる、連休時の人的プレッシャーと、意外と釣れていない事実。
その状況下「トップでデカバスを狙うにはどうすればいいのか」と考える行為の持続。

ウィードの生え方、水の流れ、船団のある場所、水面の変化、ボートの位置、操船、風、波、無数のストラクチャー…五感を研ぎ澄ます。
それら全て吸収して、このサカナと出会うことが出来た。

翌日の夕マズメ、同じ西側、シェード狙い、ウッドゥンスマートアレックでバラした一匹のバス。
ここは3番目のポイントとして事前に考えていた場所。
15時から16時半まで岸際を歩きながら、流れ込み、マンメイド等をじっくり調査し出艇した。
これをものにしていれば、ケーススタディ&フィールドトライアル成立と言えたのかな。

いずれにしても琵琶湖バスに出会えたことは非常にうれしい。

まずは機会を与えてくれた森下さんに感謝!
そして一緒にがんばってくれたタックルに感謝!、感謝!!である。















(2011年9月上旬)
MMTAC JUN




Angler Photoアングラー MMTAC JUN
釣りの楽しみ方は、釣り人の数だけあるはずだ。釣ることの魅力、釣ることだけじゃない魅力。「バスと自分のベストライフ」を見つけてほしい。バサー、JUN。


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