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SAURUS > エッセイ > 田中秀人 > 2005年 鮭川釣行 (3)
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Tokyo Rod & Gun Club
田中 秀人
ESSAY: Top Notch


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すでに初夏を迎えたようなこの日。鮭川で出会った1本のサクラマスが私をこの上なく上機嫌にしてくれた。



ここで試行錯誤しながら試しているクイック・トゥイッチングを説明してみよう。
カウントダウン・ミノー(CDレックスやスーパーシンキング等)の釣り方というと、ミノーを沈ませて活性の低い魚の鼻っ面にルアーを送り込むというイメージが強いと思うが、私の実践しているクイック・トゥイッチングは水中を3Dに捉え、アグレッシブにスピーディーに、ボトムから表層までをU字効果+上下の動きを利用した縦のU字効果を組み合わせ、数cm単位で深度を出し入れする。

そして重要なのは、抵抗のあるカウントダウン・ミノーやバイブレーションを、細かく強くトゥイッチして縦に横にとスイングさせる。

この細かい動きを抵抗のあるミノーに与えるには、ややショートで、細くて強いロッドが必要になる。しかも相手はあのバレやすいサクラマスである。強さのなかにしなやかさと粘りが必要になる。そのためのロッドがZYシャフト・リンクス71Hクイック・トゥイッチンである。ミノーから伝わる情報を手のひらの中で感じながら細かいアクションをつけ、ガンガン瀬の中で巨大なトラウトと対峙するには、ベイトリールの機能がマストになる。過去にスピニングタックルでガンガン瀬の中、巨大なサクラマスをかけてさんざん痛い目にあっている。もう一生に一度の巨大なサクラマスに完膚無きまでにやられるのはこりごりだ。だからベイトリールを使うと決めた。


自然からのチャンスを運良く手にした私の心は、いよいよ大胆に解き放たれて、ミノーにU字効果+縦のU字効果を組み合わせながら川の中を3Dに探ってゆく。アクションの強弱と深度を想定し、ポイントに合ったトレースコースを描いてみる。マスはどこにいてどのように私のミノートレースを見ているのか。気持ちの高ぶりを押さえ、ワンキャストごとにシナリオを書いて即時に実行してゆく。流れのトラウト プラッギングでは水中での自分のルアーアクションがしっかり想像できるかが大切な事だと自分に言い聞かせている。


そしてその後2本目のサクラマスが私のミノーに食ってくるまで、幸運にも時間はかからなかった。瀬が続き、開きに繋がる最高の位置に岩盤が入っている。更にその際にはスリットも入っている。間違いなくあの割れ目の中に、やる気を失ったサクラマスが張り付いている。
先ずは西村氏が向かう。ルアーはティーレックスの11cm。正確なプレゼンテーションと釣りをするその姿は流石である。が、反応が無い。しばらく粘るがやはり反応はない。
今度は私の順番だ。シナリオは60cm程沈めて岩盤のスリットまで細かくトゥイッチを刻みながら送り込んでゆく。通常で有ればここで止めてシェイクしたいところだ。しかし私はあえて反対のアクションを加えた。ピッチとトゥイッチのパワーを上げて一気に水深30cmまでU字を描く。

「パン、パン、パン」。
「ギラッツ!」


3発目のアクションにサクラマスが猛烈にアタックしてきた。スリットに戻ろうとするサクラマスの頭をこちらに向け、流れの開きに誘導し、後は慌てず対処する。今回は魚にダメージを与えずにリリースすることを最優先してハンドランディングを選んだ。
1本目より少し大きい。
浅瀬で計ると49cm。少しきつい目をした愛しいサクラマスだ。同じ7cmのカウントダウン・ミノーのプレゼンテーションでも1本目とは全く違うアクションで誘い出した結果だけに、今後の経験値となる貴重な1匹であった。


田中 秀人






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